宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASニュース > 連載の内容 > ISAS事情

ISASニュース

「はやぶさ」プロジェクト終了および解散

No.385(2013年4月)掲載

1996年よりMUSES-C計画として開始された、「はやぶさ」プロジェクトは、2010年6月のカプセル帰還作業後、たくさんの報告会・審査会・報告書の取りまとめを行ってきた。その一端を紹介すると、2010年8月回収運用結果確認会、10月豪州政府・ウーメラ村への成果報告会、12月NASA本部・JPLへの成果報告会、探査報告書編さん、慰労会、2012年総括合同評価、などなどである。それぞれの企画は目的を異にしており、回収技術や宇宙技術の記録や評価、プロジェクト自体や協力いただいた各機関への表敬などを目的としていた。従来より「はやぶさ」プロジェクトがその責務範囲として定義していた国際研究公募による小惑星サンプルの第1回分析がほぼ完了し、今年1月には第2回国際研究公募に着手したところである。

この機に、もう一つ別の観点として「経営学」に準拠した、そして最後の審査会である「プロジェクト終了審査」に、ようやくたどり着いた。(1)プロジェクト開始時に掲げた目標に照らして、そのそれぞれを達成したか否か、(2)投入した資源(経費、時間、人員)に対して、それに見合う成果であったかどうか、(3)事業を正しく引き継いだか、(4)取得した資産・知見・教訓や育成された人材を次のプロジェクトに還元したのか、という4項目に関しての審査・評価を、月・惑星探査プログラムグループの主宰で実施した。そして「『はやぶさ』プロジェクトは、目標としたすべてのミッションを遂行し所定の目的を達成するとともに、技術的な成果にとどまらず、科学的、社会的、政策的、国際的にも大きな成果を挙げた」と結論づけられた。これをもって2013年3月、「はやぶさ」プロジェクトは解散となる。

ご尽力いただいた各方面関係者、応援いただいた世界中の方々に報告するとともに、お礼を申し上げたい。ここまでの成果は後続の宇宙事業に必ずや貢献するであろう。なお、小惑星サンプルおよびそれを維持管理するキュレーション業務は宇宙研へ移管されて、今後の科学研究に供される。

(國中 均)