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ISASニュース

IKAROS 、 ギネス世界記録に認定

No.383(2013年2月)掲載

小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSと、セイルを自分撮りするために搭載された2 機の分離カメラDCAM1とDCAM2が、このたび次のようにギネス世界記録™に認定されました。(1)最初の惑星間ソーラーセイル宇宙機「IKAROS」(First interplanetary solar sail spacecraft)、(2)最小の惑星間子衛星「DCAM1とDCAM2」(Smallest interplanetary subsatellite)。

IKAROSは私にとってプロジェクトの立ち上げから設計、開発、運用すべてに携わってきた実証機ですので、今回のギネス認定は感慨深いものがあります。“世界最初”のソーラーセイルを目指して立ち上げたわけですが、その道のりは予想以上に険しいものでした。開発期間が短い中、若さとチームワークで乗り切り、惑星間軌道でソーラーセイルを実現することができました。このような形で世界に認めてもらえたことを大変誇りに思い、また、関連メーカーはじめ、学生の皆さん、関わってくださったすべての皆さまには感謝の気持ちでいっぱいです。

「イカロス」本体に関してはさまざまなところで報告があるので、ここでは私が開発を担当した分離カメラについて触れたいと思います。プロジェクト発足当初、私の任務はソーラー電力セイルを展開すること、展開したセイルを確認することでした。展開後の様子を写真に撮ろうと考えたとき、皆さんも最初に思い付くのは遠くから撮像することですよね?でも、「そんな危ないもの、開発したくないな」というのが正直な気持ちでした。当時、セイル展開機構をゼロから設計し、四苦八苦しているところでしたから。散々悩んだ結果、本体固定のカメラ4台とは別に、分離カメラ2機を搭載するという、自らの首を絞める提案をしました。無線メーカー、東京理科大学、東京工業大学に協力してもらいながら開発し、皆さんよくご存じの自分撮りに成功!晴れて世界最小の惑星間子衛星となりました。今回、ギネスに認定していただき、分離カメラから送られてきた画像を初めて見たときの感動をあらためて思い出しました。

実は、開発が進められている「はやぶさ2」でも、IKAROSの分離カメラを踏襲した新型分離カメラを搭載すべく開発が進められています。相変わらず自分の首を絞めていますが……。「はやぶさ2」の搭載分離カメラについては別の機会に紹介できればと思っています。

これからも世界初となるような、皆さんにもワクワクしてもらえるようなミッションに挑戦していきますので、ご支援ご協力をよろしくお願い致します。IKAROS、分離カメラの開発にご協力いただいたすべての皆さまに、この場を借りて感謝の意を表します。

(澤田弘崇)

ギネス認定記念撮影と、分離カメラで撮像したイカロス自分撮り!!