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ISASニュース

イプシロンロケット、 モーションテーブル試験

No.383(2013年2月)掲載

現在、イプシロンロケットは、今年の夏期の初号機打上げに向けて、各段モータ、フェアリング、各種搭載機器などの開発、製造および試験が進められています。その中で、イプシロンロケットの飛行中の姿勢制御に関わる試験として「モーションテーブル試験」が、2012年12月から2013年2月中旬までの予定で、相模原キャンパスにおいて実施されています。

モーションテーブル試験は、ロケットの姿勢制御系の健全性を確認するための試験で、実際にイプシロンロケットに搭載される、誘導制御機器(姿勢センサや誘導制御計算機など)や各段モータの可動ノズル、姿勢制御用スラスタなどのハードウェアを電気的に結合し、フライトソフトウェアを用いて実機の誘導制御を模擬し、リアルタイムにシミュレーションを行うものです。

試験の名称に使われている「モーションテーブル」は、姿勢センサを3次元で傾けることができる試験装置のことで、ロケットの飛翔中に姿勢センサが傾く状態を模擬することができます。

イプシロンロケットの誘導制御系は、ロケットに搭載された誘導制御計算機で誘導計算を行う慣性誘導方式を採用しています。1段の姿勢制御には、可動ノズルと固体モータサイドジェット装置を用います。また、レートジャイロパッケージと横加速度計測装置を搭載し、1段フェーズの制御安定化と迎角の低減に使用しています。2段の姿勢制御には、可動ノズルとガスジェット装置を用います。

3段は固定ノズル、スピン安定方式を採用し、初号機では4段として小型液体推進系のポスト・ブースト・ステージを搭載したオプション形態を採用しています。また、3段ステージの軌道誤差をあらかじめ低減する目的で、スラスタ1基によるラムライン制御(スラスタをスピン1回転につき1パルス噴射することによる姿勢制御)を行います。

モーションテーブル試験では、このような実際に搭載される各種機器を用いて、実際のフライトで予想される動作を模擬し、動作確認を行います。

(加藤洋一)

モーションテーブル試験装置(左)と2段ノズル