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ISASニュース

イプシロンロケット発射装置改修工事の進捗状況

No.382(2013年1月)掲載

「イプシロンロケットでは、歴代Mシリーズで使用したM型ロケット発射装置を改修流用します」ということは、本誌2012年12月号でご説明しました。本稿では、その改修工事の進捗状況をお話ししたいと思います。

発射装置の改修は2011年7月に基本設計を開始し、2012年6月に詳細設計を終了しました。その後、11月13日に現地工事着工(写真は着工前、最後の発射装置をバックに内之浦宇宙空間観測所職員と記念撮影したもの)、現在、内之浦の現場では、重機の姿を見掛けない日はないような状況です。

工程としては、初めに既存ランチャのシュラウドリング(ロケット後端部とインターフェースする座の部分)とその下の部材を撤去しました。それにより、現在のランチャは足回りがまるっきりなくなり、ブームだけの状態です。

これら足回りの大物部材の撤去後、地上側煙道のコンクリート打設に取り掛かりました。地上側煙道は、打上げ時の音響を低減することを目的に新規整備する設備で、イプシロンの発射装置の大きな特徴の一つです。完成後は幅6m×高さ4.5mの内形状を有する長さ8mのトンネル構造となりますが、今はまだ底部の構造が出来上がったところです。今後、底部の乾燥工程を経て、2月の壁・天井のコンクリートの打設と続きます。

次に、大物設備の輸送のお話です。イプシロンでは、頭胴部と第1段の空調装置として、種子島で休止保管中のフェアリング空調移動車No.2(以下、空調車)を使用します。種子島の車庫に保管中の空調車を輸送できる大きさに分割し、陸上はトレーラー、海上は船で輸送しました。途中、種子島では荒天のため船が大きく揺られ、空調車を船積みできない日がありましたが、輸送業者の手際の良さや関係皆さまのご協力のおかげで、不具合なく、12月21日にM台地に参上しました。

発射装置改修は、今後、新規のシュラウドリング・ロケット支持台の据え付けや整備塔天井クレーンの換装(50トンから100トンへ)を行い、2013年5月に完成します。皆さまも機会がありましたら、内之浦の現場で着々と進む現地工事をぜひご覧になってください。

(小野哲也)

現地工事着工前の集合写真。もう見ることのない “斜め発射” にセットしたランチャをバックに。