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ISASニュース

第1回「国際宇宙探査シンポジウム」報告

No.381(2012年12月)掲載

10月30日と31日に東京・大手町の経団連会館にて、「国際宇宙探査シンポジウム〜人類の宇宙探査とその未来〜」が開催され、日・米・欧・露の宇宙機関・企業・有識者が一堂に会しました。各国の有人宇宙探査の最新状況を知り、その意義・可能性について理解を深めるとともに、国内での有人探査の検討促進の契機とすることを目的としたもので、今回が第1回となります。

パネルディスカッションでは、NHKの室山哲也解説主幹の進行のもと、有人宇宙探査の意義や、国際宇宙ステーション(ISS)の次の有人計画、人命を尊重する日本文化の中での有人探査の在り方について、内閣府宇宙戦略室や文部科学省を含む国内外の有識者によって活発な議論が繰り広げられました。各国宇宙機関、企業の講演では、欧州企業からISS以降の有人探査に向けた将来システムの具体的なイメージが積極的に披露され、欧州における有人探査の躍動感を感じさせるものでした。また、無人宇宙船Dragonの活躍が目覚ましい米国SpaceX社マツモリ上級副社長による講演では、最新の成果やビジネスモデル、将来計画の構想紹介に及び、民間企業による有人宇宙活動への期待感もあってか、会場の高い関心を集めました。

宇宙関係者以外から見た有人宇宙探査の意義について、東京大学の月尾嘉男名誉教授からご講演をいただきました。15世紀の大航海時代の探検の歴史とそれによって得られたもの(例えばジャガイモ)は当時の探検家が予想もしなかった成果であったことを例に、探査を長期的な観点で捉えるべきとのご意見は、我々宇宙関係者にとり非常に示唆に富んだものでした。この講演は海外からの参加者の間でも非常に好評で、日本発のメッセージとして印象深いトピックになったと思います。

今回のシンポジウムを通じ、ここ数年のうちに有人宇宙探査計画が動きだしそうだという状況が確認され、宇宙探査の将来を占う上で非常に有益な機会となりました。シンポジウムの様子は「JAXA相模原チャンネル」で録画映像を公開していますので、ぜひご覧ください。

(川崎一義)

パネルディスカッションでは活発な議論が繰り広げられた