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ISASニュース

糸川英夫先生銅像の除幕式

No.381(2012年12月)掲載

11月11日、内之浦宇宙空間観測所に建立された故糸川英夫先生の銅像除幕式が行われた。今年は糸川先生の生誕100年にも当たり、肝付町の永野和行町長はじめ皆さま方のご尽力で、このたびの運びとなったものである。

実験場と海を見下ろす像の傍らに立つと、高木昇、糸川英夫、玉木章夫、斎藤成文、森大吉郎、野村民也、林友直、秋葉鐐二郎……と、綺羅星のごとき当時の工学の諸先生を思い出す。なお、斎藤先生はご壮健であり、林、秋葉両先生はめちゃくちゃにお元気としかいいようがない。

私は糸川研究室の大学院生として、糸川先生のもとで動きだした人工衛星計画に最初から参画し、秋葉先生のご指導のもと、長友信人先輩の驥尾に付して、大いに実働した。大学院5年間ご指導を受けた私でさえ、糸川先生とはタッチ・アンド・ゴー的な接触が多かったことを考えると、ご参集の私より若い大勢の方々のほとんどが、先生の謦咳に接する機会はなかったものと思う。それでも古強者に会える最後の機会かとも考えていたが、その意味での収穫はほとんどなく、今浦島の感に襲われた。もちろんこれは私個人の感傷であり、多くの方々に糸川先生のご事績を知っていただくのは、誠に有意義なことであろう。

銅像については、製作者の本郷寛先生のご苦心を伺ったが、美術的鑑賞眼皆無の私(一応、世界の有名美術館は義務的に巡ったが)としてはコメントを差し控えさせていただく。ただし、一般論として、銅像に似合う日本人は少ないのではないかと思っている。

最後に、宇宙開発の現状についての糸川先生のご感想が「あなた、まだやってるんですか」でないことを願っている。守成は草創よりも難し、ということもありますし、やってはいませんが気にはなっています。

(松尾弘毅)

内之浦宇宙空間観測所に建立された糸川英夫先生の銅像。
右側に見えるのは「おおすみ」の実物大モニュメント。