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ISASニュース

「ギャラクシーラブ」開催

No.381(2012年12月)掲載

アートと宇宙科学に愛は生まれるのでしょうか?人が恋に落ちるには、フィーリング、タイミング、ハプニングの3つの「ing」が大切なようです。探究心と創造力においては、お互い引けを取らない素晴らしいものを持っている両者なので、おそらくフィーリングは良いはずです。あとはタイミングさえ合えば、大宇宙と小宇宙のビッグバン(ハプニング)が起こって愛の結晶が出来上がるはずだと、壮大な想像を膨らませながら、「ギャラクシーラブ─科学もアートも宇宙がスキ─」(10月18日〜11月25日)を企画しました。

実は相模原キャンパスのある相模原市は、橋本地区を囲むように多摩美術大学、東京造形大学、女子美術大学や桜美林大学の総合文化学群があり、多くの美大生が活動しています。それらの美術系大学との連携でアートによる取り組みを行っているのが、相模原市の「アートラボはしもと」です。今回JAXA宇宙研の協力のもと、さまざまな人たちが創り上げる宇宙の形を紹介しました。

女子美術大学日本画研究室によるイトカワの分析データをもとに地球の鉱物を混成したイトカワカラーの作成や隕石を顔料として描いた小作品の展示、JAXAが作成した指示書をもとに地元の県立弥栄高校などが自由な発想で衛星模型を制作した人工衛星のデザインコンクール、「はやぶさ」プロジェクトからインスピレーションを受けた桜美林大学の学生有志による展示、などが行われました。2014年に芸術衛星の打上げを予定している多摩美術大学では、会期中に公開授業をしながら、ミウラ折りや衛星の軌道データから着想を得た作品の制作をアートラボで学生が行いました。ほかにも、市民サークルによる星の観察会や、企画段階からいろいろなアドバイスをいただいた宇宙研広報担当の高木俊暢氏を招いてのトークショーなどを行いました。

学生や市民の反応からビッグバンが起こったとは正直言い難いのですが、目線を合わせるくらいの機会にはなったと思います。なにせ愛を育むには時間がかかるものです。今後もお互いの魅力に気付いてもらう機会を用意して、ご近所同士だからこそ持続可能な関係を築いていけたらと思います。

(アートラボはしもと/加藤 慶)

展示作品の一つ