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ISASニュース

樋口JAXA副理事長、IAF会長へ

No.380(2012年11月)掲載

10月1日より5日までイタリア・ナポリで開かれた第63回国際宇宙会議(IAC)の期間中に、JAXAの樋口清司副理事長が国際宇宙連盟(IAF)の会長に選任された。

IACは国際宇宙航行アカデミー(IAA)と国際宇宙法学会(IISL)の共催で、会の運営は主としてIAFが仕切っている。参加人員は3000人に近く、学術セッションのほかに各国間会合が開かれるなど、世界中の宇宙関係者が一堂に会する年に一度の機会である。IAFにとってこのIACが最大の行事であるが、ほかに宇宙コミュニティを代表して国連などとの接触にも当たっている。IAFの構成単位は宇宙関連の各種組織/団体(例えば日本航空宇宙学会、日本ロケット協会、…重工)であり、年一度の開催地は投票によって決められる。プラハ、ケープタウンときて今回のナポリ、次回は北京が予定されている。我が国では1980年に東京で、2005年に福岡で開催され、大いに好評であった。

カナダから現職の副会長も立候補して有力な対立候補となったが、総会での投票により樋口氏が選出された。IAF業務について氏にまったく経験のないことは大きな弱点であったが、JAXAの国際活動を通じての知名度(典型的にはアジア・太平洋地域宇宙機関会議[APRSAF]によって培われた関係によるアジア諸国の支持)、本人の所信表明に対する共感などが相まっての結果であった。特筆すべきは国際部の活発かつ有効な支援活動であり、とりわけ総会における知久建美さんの支持演説は白眉との評価が高い。

JAXA副理事長として多忙の中にあっても、ぜひIAF会長として新風を吹き込んでいただきたい。

(松尾弘毅)