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ISASニュース

「SPICA 特別セッション」日本天文学会秋季年会にて開催

No.379(2012年10月)掲載

大分大学にて行われた日本天文学会秋季年会において、9月21日、「SPICA特別セッション」が開催されました。

SPICAは、(1)銀河誕生のドラマ、(2)惑星系のレシピ、(3)宇宙における物質の輪廻という現代天文学の重要課題に挑む次世代赤外線天文衛星です。ハッブル宇宙望遠鏡をも超える口径3.2mの望遠鏡を搭載し、それをマイナス267℃(絶対温度で6K)まで冷却することにより、上記の重要課題の解明に欠かせない「中間・遠赤外線領域」において、圧倒的な高感度を誇ります。日本がリードする国際共同ミッションで、欧州(ESAおよび個別の国から成るコンソーシアム)、韓国、台湾が参加し、米国も参加を検討中です。2022年の打上げを目指しています。

SPICAは、「プリプロジェクト」という段階にあり、最終的なプロジェクト承認まで、あと一歩というところまで来ています。プロジェクト承認に向けた衛星仕様決定のための活動の一環として、観測装置の国際レビューを進めており、来年の2月には焦点面観測装置の仕様が決定します。この重要な時期に当たり、SPICAの「目指す科学」と「その実現のために必要な観測装置の仕様」について、広くコミュニティに問うために、今回の特別セッションを開催しました。

特別セッションでは、ミッションの状況の説明に続いて、上記の3つの主要テーマと、その解明のために必要な観測装置について活発な議論が行われ、参加者から実現に向けての強い期待が表明されました。この議論は大変に貴重なものであり、今後のSPICA計画の方針と観測装置仕様の決定とに反映していく予定です。

日本天文学会秋季年会期間中の最後の時間ということで、参加者が十分に集まるかという心配が開催前にはありました。しかし、ふたを開けてみると、立ち見も出るほどの大盛況で、心配は杞憂に終わりました。SPICAに対する天文学会会員の熱い期待をひしひしと感じました。

(中川貴雄、松原英雄)

日本天文学会秋季年会「SPICA特別セッション」での議論の様子(大分大学)