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ISASニュース

雨にも風にも負けない「宇宙学校・たけお」

No.379(2012年10月)掲載

能代ロケット実験場の開設50周年の節目を迎え、9月8、9日に記念事業が開催されました。

佐賀県立宇宙科学館では、7月14日から9月17日まで、夏の特別企画展「飛び出せ!宇宙へ!」を開催しました。この企画展は、糸川英夫博士生誕100年、フォン・ブラウン博士生誕100年、アポロ有人月探査終了から40年を記念して企画したもので、日本のロケット開発の歩みや月・惑星探査、宇宙利用やスピン・オフなどを紹介しました。その企画展の最終日に、「宇宙学校・たけお」を開催することができ、とても喜んでいました。

しかし、当日の9月17日は台風16号が九州に最接近しており、先生方や参加者が無事に来館できるかどうか気が気ではありませんでした。結局、悪天候にもかかわらず146名に参加いただきました。心配事はもう一つ……佐賀県の子どもたちはとても恥ずかしがり屋で、質問の手が挙がるだろうかということ。しかし、それも宇宙学校が始まると吹き飛びました。宇宙学校校長の阪本成一教授のリードで、子どもたちの手が挙がること、挙がること。質問が途切れることはありませんでした。

1限目は野中聡准教授による「これまでのロケットとこれからのロケット」、2限目は田村隆幸助教による「X線で探る宇宙の大規模構造―『すざく』から『ASTRO-H』へ―」というテーマで進められました。野中先生の授業では、再使用ロケットの話が子どもたちの興味を引いたようで、「宇宙から帰ってくるとき大気圏で表面が燃えるけれど次も使えるの?」「地球環境に優しいロケットなの?」「再使用ロケットで有人飛行の計画はあるの?」など質問が次々に寄せられ、近い未来の宇宙旅行に想いをはせていたようでした。田村先生の授業では、ブラックホールの質問が多く、「ブラックホールの中身は?」「ブラックホールの降着円盤の広がりはどうなっているの?」「ブラックホールはどんな物質でできているの?」など、子どもたちの興味は尽きないが、ますます謎は深まるばかりのようでした。

最後に両先生に子どもたちへのメッセージを頂きました。「子どものうちはいろんなことに興味を持つこと」「やりたいことを決めたら一つずつやり遂げてほしい」という先生方の言葉に、子どもたちは目を輝かせてうなずいていました。私たちも頑張らなくては……。 

(佐賀県立宇宙科学館/堤 紀子)

宇宙学校を終え、夏の特別企画展「飛び出せ!宇宙へ!」で説明に聞き入る子どもたち