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ISASニュース

第11回「君が作る宇宙ミッション」(きみっしょん)開催

No.378(2012年9月)掲載

8月6〜10日の4泊5日で行われた今年の「君が作る宇宙ミッション」(きみっしょん)は、過去最大の応募者数を受け、作文審査でも大学院生スタッフの激論を経て選ばれた24名が参加しました。

「きみっしょん」は、4つの班に分かれ、大学院生のアドバイスのもとにミッション提案に向けた検討を行います。議論は、「どんなミッションをやるか」から始めます。高校生は初体験のブレインストーミングの中で自分の意見を主張するために、必死で考えます。そうしてグループでまとめた意見も、中間発表会などで質問攻めの洗礼を受け、論理的弱点を突かれて議論のやり直し、となることもあります。実質3日間という限られた時間の中で、高校生は技術的検討の入り口まで何とかたどり着き、ミッションをつくるためには何をしなければならないか、を学んでくれたと思います。

ここ2〜3年の傾向でもありますが、高校生が選択するミッションのテーマは、近地球の宇宙利用が多く出ました。一般の人のための宇宙旅行ビジネス、太陽光の直接供給、月面移住、連続的な重力環境の提供、など。一見よくあるテーマのようですが、それぞれの班にこれまでにない独創的なアイデアが含まれていたのが印象的でした。 今回は初めて大学院修士過程の学生中心の事務局でしたが、例年にも増して強力なリーダーシップのもと、スタッフは学年の上下を問わず一致団結協力して、若さあふれる元気な運営でした。体調を崩す参加者もなく、5日間無事にミッション検討に没頭できたのはよかったです。

職員世話人としての今年の目標は、1人でも多くの先生方、職員の皆さんに「きみっしょん」に接していただくことでした。私自身は力不足で反省するところも多々ありましたが、高校生とスタッフ諸君の熱意が通じたか、最終発表会には大変多くの方にご参加いただき、有意義な質問、コメントをいただきました。井上浩三郎さんの「私は『おおすみ』以来、40機の面倒を見ました」の発言に、大きくどよめく高校生たちが印象的でした。

最終日、高校生には毎年言っていることですが、「きみっしょん」はこの5日間で完結するものではなく、これからの彼らの人生をかけて進めるミッションの始まりです。ぜひ「きみっしょん」で学んだ「自ら考え、自ら決定し、自ら作業する」を活かしてほしいと思います。いつかどこかで再会できることを願っています。

今年は例年にも増して、さまざまな方のご支援をいただきました。宇宙科学振興会からの援助に感謝致します。そして、職員およびその他お世話になった皆さまに、あらためてお礼申し上げます。

(山村一誠)

「きみっしょん」参加者とスタッフの記念撮影