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ISASニュース

第6回「ひので科学国際会議」(Hinode-6)報告

No.378(2012年9月)掲載

8月14〜17日の4日間、英国セント・アンドリュース大学にて第6回「ひので科学国際会議」(Hinode-6)が開催されました。これは、2006年の太陽観測衛星「ひので」(SOLAR-B)打上げ以降、国際協力を続けてきた日米欧が毎年交代で開催してきた国際会議で、これまでの「ひので」の科学成果と将来計画を話し合うための会議です。

今年は欧州において、来年創立600周年を迎えるセント・アンドリュース大学での開催が決まりました。スコットランド最初の大学で、現在の英国王室ともゆかりのある歴史ある大学です。またHinode-6の前後にはSOLAR-C科学会議、ロケット観測実験CLASP国際会議も催されました。会議には日本からに加え、NASAやESAなどから合計160名程度が参加しました。「ひので」の観測装置開発やデータ解析に携わる人からプラズマ分光関係の研究者、理論数値シミュレーションの研究者まで、幅広い分野から参加がありました。

会議では、「ひので」を含めた最近の太陽観測での発見の報告や、それらを俯瞰するレビュー講演、また理論的解釈について議論されました。4日間で7つのセッションが開催され、太陽フレア、コロナ加熱、太陽風、ダイナモと表面磁場、活動領域形成、将来的課題といった内容で話し合われました。第6回ということもあり観測解析も充実してきて、今回は「ひので」データと他衛星観測や地上観測データを併用した総合的解析や、観測結果を解釈するための数値シミュレーションの講演が多くプログラムに盛り込まれていました。以前までの会議で挙がってきた観測結果を踏まえて、さらに一歩踏み込んだ議論が今回なされていたように思います。また第24太陽活動期のピークを来年に控えて活動的な太陽について初日に議論したり、極域・静穏領域磁場の年変化といった「ひので」の長期安定観測の結果可能になってきた研究が示されたりもしました。若手研究者・大学院生の口頭発表が多く採択されていたのも特徴です。世界第一線で活躍する研究者らに顔を覚えてもらえる絶好の機会となりました。多くのポスター講演もあり、休み時間はコーヒー、紅茶を片手にポスター前で熱い議論が交わされました。

またHinode-6に先駆けて開催されたSOLAR-C科学会議では、SOLAR-C計画の準備状況と目指すべき科学目的について話し合われました。太陽磁場や彩層コロナ加熱、プラズマ素過程にフレア予測、太陽活動の社会的影響について議論され、今後重点的に取り組むべき課題が明らかになる有益な国際会議となりました。

(西塚直人)

セント・アンドリュース大学にて