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ISASニュース

観測ロケットの発射角度を決める 〜OP班の風観測〜

No.378(2012年9月)掲載

観測ロケットの飛翔実験には、レーダ班やテレメトリ班など13の班が参加します。その中で、毎日淡々とGPSゾンデという計測装置をバルーンに付けて放球している班があります。OP(Orbit Planning)班です。フライトオペレーション期間中は1日2回、打上げ時刻とその2時間前に放球します。ふーん、バルーンを上げているだけなんだ、と思うことなかれ。

打上げ時刻に放球するというのが、くせものです。例えば午前5:00が打上げ時刻の場合、毎日昼夜逆転で午前3:00と5:00に放球です。それからバルーンが高度20kmに達するまで約1時間待ち、GPSゾンデの位置データから得られた各高度での風向・風速情報と、超音波風速計で測定した地上0mと25mの風向・風速情報を入力値として、ロケットの発射角を算出します。これを毎日、打上げが延期になったら打ち上げられるまで続けて、風の傾向を把握するのです。ただし、せっかく風の傾向を把握したのに、打上げ当日に限って気圧配置が変化して、これまでのデータとまったく違う風が吹くというハプニングもあります。

打上げ当日は4.5時間前、2時間前、40分前に放球するのですが、そんなときはOP班はキリキリ舞いです。気圧配置予想なども参考にしながら刻一刻と変わる風の傾向を見極めて、発射角を決定し、ランチャ班にセット角を伝える必要があるからです。ここ何回かのフライトオペレーションでは(S-310-41号機も!)ハプニング日が続き、バタバタでしたが、祝ネライ通りの軌道飛行ということで胸をなで下ろしています。

( 廣瀬史子)

放球の様子。見た目は楽しそう!?実際楽しい!