宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASニュース > 連載の内容 > ISAS事情

ISASニュース

MAXIが定常運用を終了し、後期運用へ移行

No.374(2012年5月)掲載

国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に搭載され、2009年10月に定常運用を開始した全天X線監視装置(MAXI)は、このたび予定された定常運用を終了し、後期運用へ移行しました。

定常運用終了に伴いMAXIサイエンスチームから宇宙研の宇宙理学委員会MAXI科学評価委員会に科学評価を要請し、昨年12月に「観測を延長し、全天X線監視装置として役割を果たせるようにすることを強く推奨する」との提言を得ました。この結果を受け、2012年3月にMAXI定常運用終了審査会を有人宇宙環境利用ミッション本部で実施し、定常運用終了と後期運用移行が了承されました。

定常運用の2年半の間に、X線ガススリットカメラの信号検知用炭素芯線の一部断線などが発生したものの、おおむね順調に運用を実施し、成功裏に定常運用を終了することができました。これも、理化学研究所や関係大学に所属するMAXIチーム員や、連携観測に尽力いただいているX線天文衛星「すざく」やSwiftチーム、「きぼう」とMAXIの開発と運用に携わってきたすべての方々による協力と努力が結実したものと考えております。

MAXIの成果は、『ISASニュース』2011年2月号の「MAXIが見たブラックホール連星」や2011年10月号の「巨大ブラックホールに星が吸い込まれる瞬間をMAXIが捉えた」でも報告させていただいておりますが、専門誌『PASJ』の「すざく MAXI特集号」や科学誌『Nature』などにもその成果が掲載されています。また、プラネタリウム番組や高校教科書への画像提供や一般講演会参加などを通じ、広報普及活動にも多くの寄与をしています。

MAXIは後期運用として、2015年3月を目標に運用を継続していきます。この後期運用では、上記科学評価委員会からの改善要望を受けた3つの課題、(1)チーム外科学者によるデータ利用の促進、(2)MAXIのもう1つの観測装置であるX線CCDの科学成果の創出、(3)MAXIの長期データアーカイブの開発開始にも取り組みます。MAXIへの応援をこれからもお願い致します。

(上野史郎)

天体の突発的増光や長期間にわたる変動を国際宇宙ステーション上から監視中の全天X線監視装置MAXI