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ISASニュース

「スペーステラヘルツ技術国際シンポジウム」開催

No.374(2012年5月)掲載

桜がそろそろ開花し始めた4月2日から3日間にわたり、第23回「スペーステラヘルツ技術国際シンポジウム」(International Symposium on Space Terahertz Technology:ISSTT)が、東京・一橋記念講堂にて開催されました。ISSTTは、ミリ波から赤外線の波長のいわゆるテラヘルツ領域の技術に関する国際会議であり、関連分野では最も長い歴史を持つものです。これまで、米国とヨーロッパで毎年交互に開催されてきましたが、今回、国立天文台と宇宙科学研究所とが主催し「ISSTT 2012 in Tokyo」と銘打って、初めてアジア地域で開催しました。世界中の研究者が約120人集まり、52件の口頭講演と64件のポスター講演がある盛況な会議となりました。

会議では、最新の研究成果の発表や議論が活発に行われました。具体的な将来のスペースミッションとして次世代赤外線天文衛星SPICAや小型科学衛星計画LiteBirdの紹介や、関連技術の議論が行われました。ポスターの前には大勢の人が集まり、最近の技術動向について活発な意見交換が行われました。技術者集団の会議だけあって、専門用語が互いに通じ合う密な議論が繰り広げられるとともに、研究上の悩みを打ち明け合う場面も見られました。参加者は、会場近くを散歩がてら、美しい皇居のお堀や緑も楽しんでくれたようです。

会議終了翌日の4月5日には、関連する日本の代表的研究機関として国立天文台と宇宙科学研究所の見学ツアーを開催しました。広報の方々には見学内容の相談のほか、ビデオや会場の手配に加え、説明の手助けもしていただきました。参加者に楽しんでもらえるか心配でしたが、衛星展示や試験設備および実験室での研究紹介に感心してもらえました。専門的な質問にどぎまぎする場面もありましたが、「面白過ぎて立ち去り難い」などの感想もいただき、ツアーの成功を確信しました。

今回、宇宙科学研究所の研究を世界にアピールできただけでなく、日本がアジア各国と協力して当分野をけん引する役割を担うべきことを強く意識させられました。

なお、本会議の開催に当たり、(財)宇宙科学振興会から支援をいただきました。

(松浦周二)

シンポジウム会場での参加者の集合写真