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ISASニュース

「宇宙科学講演と映画の会」開催

No.374(2012年5月)掲載

宇宙科学研究所の主催広報事業の一つである「宇宙科学講演と映画の会」を4月14日(土)に開催しました。もともと旧宇宙研の開所記念日ごろに行ってきたもので、今年で31回を数えます。最近では、筑波宇宙センターや調布航空宇宙センターの施設の特別公開に合わせて、科学技術週間の前週の土曜に開催しています。従来は新宿駅前の明治安田生命ホールで開催してきましたが、今年は新宿区の特別の計らいにより、四谷区民ホールに移して開催しました。あいにくの天気でしたが、座席指定券を先着順に配布したこともあり、大きな混乱はありませんでした。座席数にも余裕があったため、447人もお迎えしましたが、会場内で立ち見なくご参加いただけました。

小野田淳次郎所長によるあいさつの後、まず中川貴雄教授から「宇宙から宇宙を見る」として赤外線天文学と「あかり」やSPICA計画を中心とした話を、そして休憩を挟んで藤村彰夫名誉教授から「『はやぶさ』が持ち帰った微粒子について」として小惑星イトカワの微粒子の回収や解析状況の話を、それぞれ1時間ずつご紹介しました。その後の質疑応答も50分取りましたので、会場からさまざまな質問が飛び出しました。SPICA計画の次の展望について問われ、さらなる大口径化を夢見る理学の中川教授を、工学の小野田所長が「ただ大きくするのでは工夫がない」とたしなめる一幕もあり、単に成果や今後の展望だけでなく、現場のピリピリした雰囲気もお伝えできたのではないかと思います。

会の最後には『日本のロケット開発の父〜糸川英夫 生誕100年〜』という20分の作品を上映しました。これは7月20日に迫った糸川先生の生誕100年を意識して、既存の映像資料をベースに特別編集した作品です。日本の宇宙科学の黎明期を振り返る一助とすることができたものと思います。

今回の会場では物販や寄付を行うと会場費が高くなるため、これらを見合わせました。残念だという声も少なからず寄せられましたので、次回に向け検討します。会場は次回も四谷区民ホールの予定です。また来年お目にかかりましょう。

(阪本成一)

藤村名誉教授の講演の様子