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ISASニュース

西村純先生、IAA基礎科学部門賞を受賞

No.3XX(2012年5月)掲載

このたび、宇宙科学研究所 元所長の西村純先生がIAA(International Academy of Astronautics:国際宇宙航行アカデミー)の基礎科学部門賞を受賞されました。

IAAについては、『ISASニュース』2011年11月号の「東奔西走」をご参照願います。選挙で選ばれた1000人余りの国際的な宇宙関連研究者を擁する大変権威ある組織です。最近では、とみに通年での共同研究活動に力を入れており、シンポジウムを各国で開催するほか、会員による「Study Group」を組織して検討結果をしかるべき手段で公表しています。この賞は、基礎科学部門での卓越した業績に与えられるものです。

西村先生は我が国における気球工学の大先達として、ブーメラン気球や南極ポーラーパトロール気球などの長時間飛行気球の開発・運用をはじめ、数々の業績を挙げてこられました。これらの気球は、高エネルギー天体物理学をはじめとする宇宙科学観測の手段として大いに威力を発揮しました。また、3次元電子シャワーの理論の確立により宇宙線シャワーの詳細な解析を可能にしたほか、新しいタイプのエマルションチェンバーを発明して宇宙線中の高エネルギー電子の精密な観測に貢献されました。

あまり事の軽重が分からずに書いていますので、書くほどにお叱りを受けそうですが、授賞式は3月にパリで開かれたIAAの晩餐会の席上で催され、僭越ながら私が先生のご紹介を致しました。結びは以下の通りです。  This is the second time that I present the Academy Award to my teacher. I am much honored, even though he did not give me any award.

パリでは、先生のホテルにごあいさつに伺ったほかはご一緒できませんでしたが、奥さまともども久しぶりのパリを楽しまれたようです。

(宇宙科学研究所名誉教授/松尾弘毅)