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ISASニュース

川口淳一郎教授、宇宙功労賞を受賞

No.3XX(2012年5月)掲載

4月16日、米国宇宙シンポジウムのオープニングセレモニーにおいて、宇宙功労賞(2012 Space Achievement Award)の授賞式が行われ、川口淳一郎教授が受賞しました。米国人以外の個人としては初めての受賞です。受賞理由は、(1)太陽潮汐力を使った軌道操作法の開発、(2)火星探査機「のぞみ」の異常時対応軌道計画、(3)小惑星探査機「はやぶさ」プロジェクトマネージャーとしての貢献、です。このシンポジウムは宇宙活動全般を対象とした米国最大規模のものです。参加者は、4日間で述べ9000人といわれています。その3分の1ほどは軍関係者、残りの大半は全米から集まった産業界の会長や社長、営業担当役員などで、米国内へのアピール力のある大きなシンポジウムです。

授賞式では、「のぞみ」の紹介に続いて「はやぶさ」のビデオが流され、世界で初めて小惑星からのサンプルリターンに成功した快挙が紹介されました。続いて3本の「はやぶさ」映画が製作されたことの紹介があり、ハリウッドスター渡辺謙の顔が会場のスクリーンに大きく映し出されました。そして、スクリーンはレゴブロックのキャラクターに替わり、これも川口教授役!と紹介。渡辺謙とのギャップに、会場は大いにうけていました。主催者のスペースファウンデーション(NSS)は、アウトリーチ、教育にも力を入れている団体なので、科学的・技術的成果に加えて、一般の人々にも強い影響を及ぼした「はやぶさ」を高く評価したのだと思います。

続いて、トロフィーの授与、川口教授のスピーチがありました。受賞したことを誠に光栄に思う旨、主催者のNSSに謝意が述べられ、同時に日本の宇宙開発をけん引してこられた方々の長年のご努力に対して祝意が語られました。そして、これからの宇宙開発はきっと新たな太陽系大航海時代を迎えるはずという展望とともに、自分たちが行ったのはごく小さなことではあるが、これをもとにして日本のみならず世界中の宇宙開発を担う次世代の若者が太陽系の新たな目的地に到達できるように願うというメッセージが発信されました。

「はやぶさ」関連の受賞ラッシュはまだ続く気配です。そうしているうちに、あと2年で「はやぶさ2」が打ち上がります。「はやぶさ」の成果のみならず、ミッション継続の好循環をつくり上げた川口教授と「はやぶさ」チームに敬意を表したいと思います。

(JAXAワシントン駐在所長/上森規光)

授賞式の様子とスクリーンに映し出されたレゴブロックのキャラクター