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ISASニュース

第2回「月と火星の縦孔・溶岩チューブ探査研究会」@富士河口湖町

No.373(2012年4月)掲載

月周回衛星「かぐや」(SELENE)に搭載された地形カメラで、月の溶岩チューブにつながると思われる縦孔が発見されました。火星にも似た孔が見つかっています。溶岩チューブや縦孔については多くの科学研究課題があります。また隕石などから守られる地下の溶岩チューブは月や火星の基地建設地候補です。(。『ISASニュース』2010年2月号、No.347)。  

将来、月や火星の縦孔・溶岩チューブ探査をしたい、ということで、2010年度に第1回の研究会を開催したところ、延べ80人以上もの方々が参加され、科学・探査技術・アウトリーチにアイデアを持っておられる方がたくさんいることが分かりました。

2回目となる今回は、火山学者の白尾元理さんの助言もあり、多くの溶岩チューブがある富士河口湖町での開催となりました。また同町の厚意で、調査を兼ねて溶岩チューブの一つである西湖コウモリ穴に入りました。ヘルメットをかぶって入った穴の中で、地質・火山・生命科学研究者がどういう科学をするのか、したいのかを語り、具体的に探査するにはどうしたらよいか、何が課題かを工学研究者が熱く議論しました。世界に誇る溶岩チューブを持つ日本は、月や火星の縦孔・溶岩チューブ探査を目指すべきです。研究会は、参加者が2日で延べ70人を超え、野外調査経験によって深まった討論を踏まえ、今後さらに研究を共に深め、また探査実現を目指すことを誓い合って終了致しました。

今回、宇宙研より研究会開催支援費をいただきましたが、所外開催もあって共同利用の三好さん、谷亀さん、契約の田口さん、総務の永井さん、秘書の三澤さんら事務の方々にお世話になりました。事務の方々の好意的な協力があるから、宇宙探査が可能になっていくのだと再認識しました。また富士河口湖町には、教育委員会の杉本さんに窓口となっていただき、会場提供や、3月中はまだ一般には公開していない西湖コウモリ穴の調査で便宜を図っていただけました。皆さまに感謝致します。

(春山純一)

西湖コウモリ穴にて