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ISASニュース

第6回「SELENE拡大サイエンス会議」

No.372(2012年3月)掲載

月周回衛星計画「SELENE(セレーネ)」の3機の探査機「かぐや」「おきな」「おうな」が運用を終了してから間もなく3年。人類初の月グローバルマッピングを達成したSELENEのデータは、着実に月の謎を解き明かして世界の注目を集めています。こうした背景のもとに、第6回の「SELENE拡大サイエンス会議」が、1月10日〜12日に名古屋大学で開催されました。

この会議はSELENEの15の観測機器の研究者を中心に2007年から毎年開催されており、6回目となる今回、初めて首都圏を離れて名古屋大学での開催となりました。出席者90名のうち18名は海外からの参加者で、米国、中国、フランス、韓国、ドイツ、スイス、英国と、多様な国々から月の研究者が集まりました。

今年はSELENEのデータ校正・初期解析の最終年に当たることから、データ校正と解析に関する最新の成果を共有し、SELENEが目指す「月の起源と進化の解明」に向けた次の段階の研究や、将来の月探査における科学ミッションの方向性を議論することが、今回の会議の目的でした。この中で、月の元素分布、鉱物分布、表層構造、環境、重力分布について、それぞれ精度の高いデータが生成され、各分野で新たな発見が相次いでいることが報告されました。その一方で、SELENEが目指す「月の起源と進化の解明」に向けた次の段階では、さまざまなデータを総合的に解析する「統合サイエンス」を進めていくことが提案されました。もう一つの会議の目玉は、SELENEに続く月探査計画であるSELENE-2をはじめ、将来の月探査における科学ミッションについて、活発な議論が行われたことでした。このことは、SELENE-2の実現が世界各国から期待されていることを強く印象づけるものでした。

7回目となる次回は、装いを新たに「SELENEシンポジウム」として、SELENE関係者に限らない国内外の多くの惑星科学者が集う国際会議にすることを計画しています。今世界が注目している「月」に関し、多くの成果や新たな提案について熱く議論されることを期待してやみません。

(岩田隆浩)

国内外の月の研究者が集結