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ISASニュース

帰還カプセル特別展示 in おおふなと

No.371(2012年2月)掲載

小惑星探査機「はやぶさ」の「帰還カプセル特別展示 in おおふなと」が岩手県の大船渡市民文化会館・リアスホールで1月19日から23日まで5日間の日程で行われました。大船渡市の吉浜地区には1971年から2007年まで三陸大気球観測所が放球基地として設置され、大気球実験が行われていました。

吉浜地区に隣接する越喜来地区は、昨年3月に発生した地震による津波で大きな被害が出ました。宿舎として利用していた泊荘は、高台にあるにもかかわらず、1階の天井まで津波が到達したそうです。急きょ修繕をして、2ヶ月後に営業を再開されました。

三陸大気球観測所は、「はやぶさ」カプセルに採用されたパラシュートの高高度からの投下や、小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」の展開などが、大気球実験により行われた場所です。今回の大船渡市での特別展示は、実験をした場所への凱旋ともいえます。

メイン会場となったリアスホールは地下1階地上4階の大きな建物で、1100人を収容する大ホールを備えています。大ホールでは、1月22日(日)の午後に的川泰宣名誉教授の記念講演が行われ、この日以外は「映画無償上映会」として『HAYABUSA―BACK TO THE EARTH―帰還バージョン』が1日5回上映されていました。およそ250m2あるマルチスペースでは、盛岡市の岩手中・高等学校製作の「はやぶさ」原寸大模型が正面に展示され、両側には帰還カプセルなどが整然と展示されていました。また、展示ギャラリー(およそ10m×5m)には「三陸・大船渡市とJAXAとのつながり」と題して中央に直径3mのヘリウム気球を浮遊させ、周囲には当時の三陸大気球観測所関連の写真などを展示しました。1月21日(土)に開催されたミニ宇宙教室では、「『はやぶさ』と三陸・大船渡」「三陸実験場とJAXA」「IKAROSと三陸・大船渡」の3つの講演が行われ、用意した50席がほぼ埋まっていました。

初日にはエントランスロビーにて大船渡市長、市議会議長、教育長、吉浜小学校6年生代表、阪本成一教授によるテープカットセレモニーが行われました。大船渡市の人口は約4万人ですが、この特別展示にはおよそ6000名に来場いただきました。

(並木道義)

奥の「はやぶさ」原寸大模型は岩手中・高等学校製作