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ISASニュース

Alloy Semiconductor実験の準備状況

No.369(2011年12月)掲載

国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の第2期利用実験テーマの一つである「微小重力環境下における混晶半導体結晶成長」(略称:Alloy Semiconductor)は、2012年の軌道上実験実施を目指し、JAXAおよび静岡大学、静岡理工科大学、大阪大学、兵庫県立大学の共同研究チームを中心に準備が進められている。本実験の目的は、長時間の微小重力環境下において混晶半導体であるInGaSb(インジウム・ガリウム・アンチモン)の結晶成長実験を行い、対流や結晶の面方位がその結晶成長に及ぼす影響を明らかにすることで、混晶半導体バルク結晶育成技術の発展に資することである。InGaSb結晶は、熱光発電デバイスや各種ガスセンサーなどを作製する上で重要な材料である。本実験の詳細は「きぼう」での科学利用に関するwebサイト(新しいウィンドウが開きます http://iss.jaxa.jp/kiboexp/field/scientific/)をご参照いただきたい。

研究チームが準備する試料は計5本の供試体カートリッジであり、それらの中に結晶成長用アンプルがそれぞれ封入されている。そして、「きぼう」船内実験室に設置された温度勾配炉を用いて各カートリッジを約100時間連続加熱処理し、地上に持ち帰って解析を行う。

供試体カートリッジの開発はすでに終了し、フライト用カートリッジをソユーズで打ち上げるためにロシアへ輸送済みである。9月27日にJAXA筑波宇宙センターで実施された宇宙飛行士の訓練では、代表研究者から宇宙実験の概要および軌道運用上の留意点などが説明され、宇宙飛行士からも実験内容などについて活発な質疑があった。この訓練を経て、研究チームは宇宙実験の実施がごく間近になったことをあらためて実感した次第である。

(稲富裕光)

座学訓練中の宇宙飛行士、Donald Pettitさんと星出彰彦さん。右奥は筆者。