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ISASニュース

宇宙と音楽の夕べ vol.1 「月」

No.365(2011年8月)掲載

7月10日、桜美林大学総合文化学群音楽コースとのコラボレーション企画として、「宇宙と音楽の夕べ vol.1 『月』〜癒しのシンフォニー」を桜美林大学のプラネット淵野辺キャンパスで開催しました。音楽と宇宙科学の共通テーマとして月を選んだのは、音楽サイドにも素材が豊富なので内容を考えやすく、この企画の第1回目としてふさわしいと考えたからです。音楽を単なるBGMにせず、宇宙と音楽の両方が主役となる構成にするためにも、身近な「月」は音楽と科学にとって最適なテーマでした。

当日の流れは次のようにしました。まず月をテーマにした演奏が30分。この時間は、桜美林大学の横山正子教授によるプロデュースです。マザーグースの詩の朗読を交えて、フォーレ『月の光』やシューベルト『月に寄す』などの演奏がありました。プラネット淵野辺キャンパスのエントランスホールは、音がよく響くガラス張りの空間です。外からも見えるスクリーンに映した月の映像を背景に、素晴らしい演奏を楽しんでいただきました。次の30分は、月・惑星探査プログラムグループの中澤暁さんが「『かぐや』が見た月の世界」と題して、主に月周回衛星「かぐや」の紹介をしました。演奏会の雰囲気の中での科学講演は大変だったと思いますが、きちんと月と音楽の接点にも触れていただきました。最後の15分は、「かぐや」のハイビジョン映像を背景にピアノの生演奏を行い、宇宙科学の成果と音楽の両方を堪能していただく時間としました。「地球の入り」の映像では、地球が沈み切ったところでイタリア協奏曲・第2楽章(バッハ作曲)が終わるという完璧なパフォーマンスがありました。ここでピアノを担当されたのは、桜美林大学専任講師の小早川朗子さんです。桜美林の先生方の演奏は前日のリハーサルで録音しましたので、これからも「かぐや」映像と一緒にお聴きいただく機会があると思います。

イベントの最後に、抽選で10名の方に「かぐや」映像のDVDをプレゼントしたのですが、これが大変好評で、「ぜひ購入したい」との声も聞かれました。また今回、東日本大震災チャリティーイベントとして開催したので、会場で募金の呼び掛けをしました。約200名の参加者から合計4万7015円の募金を頂き、大変感謝しています。皆さんからお預かりした募金は、相模原市渉外課を通じて友好都市の大船渡市へと寄付させていただきます。募金額の多さにも驚かされましたが、一番心に残ったのは会場からの盛大な拍手と、会場全体で素晴らしい時間を共有したという実感でした。

イベント終了後には、星空公団の方々のご協力で、生の月の観望会を開きました。天気にも恵まれ、月のほか、土星、はくちょう座の赤と青の二重星アルビレオなどを鑑賞することができました。

(高木俊暢)

「かぐや」の映像をバックにあいさつをする出演者