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ISASニュース

古川宇宙飛行士、国際宇宙ステーションへ

No.364(2011年7月)掲載

6月8日、古川聡宇宙飛行士を乗せたソユーズ宇宙船がカザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、2日後、無事国際宇宙ステーション(ISS)に到着しました。2008年6月に星出彰彦宇宙飛行士が日本実験棟「きぼう」を取り付けてからちょうど3年、6人目の日本人ISS滞在となります。

5ヶ月半にわたる滞在期間中、古川さんはたくさんの仕事、実験を行います。
まず、古川飛行士自身を被験者とした医学実験が定期的に行われます。尿サンプルの取得や髪の毛の採取が継続的に行われるほか、「きぼう」内の線量計が更新され、古川さん滞在中の宇宙放射線量の測定が行われます。
また、古川さん滞在中に最後のスペースシャトルがISSに到着します。このスペースシャトルにて試料を地球に持ち帰るべく、キュウリの芽生え実験が始められます。できるだけ新鮮な状態でサンプルを回収したいので、キュウリの生長開始のタイミングはシャトル打上げ日に合わせて微調整されます。
さらに、宇宙ステーション補給機「こうのとり」2号機で「きぼう」に運んである多目的実験ラックの機能チェックを行います。この多目的実験ラックは、衛星でいうとバス機器のような装置で、機器を収納する広い空間、電力・冷却水、データの送受信機能を実験装置に提供します。
残念ながら、古川さん滞在中に多目的実験ラックを利用した実験は行われませんが、来年「きぼう」に輸送される水棲生物実験装置によるメダカの実験を皮切りに、多くの実験が計画されています。その他、タンパク質結晶育成実験や温度勾配炉のヒーター点検などなど、作業が目白押しです。多忙なスケジュールですが、無事にこなして元気に帰還されることを祈っています。

(石川毅彦)

バイコヌール宇宙基地から打ち上げられた古川宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船
©NASA