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ISASニュース

「はやぶさ2」、プロジェクトとして新たな挑戦へ

No.363(2011年6月)掲載

小惑星探査機「はやぶさ」後継機の「はやぶさ2」は、2011年5月1日より“プロジェクト”となりました。それまでは“プリプロジェクト”と呼ばれるプロジェクト準備段階でしたが、正式にJAXAのプロジェクトとなったわけです。これは、「はやぶさ2」に関わってきたメンバーにとっては非常にうれしいことであると同時に、一つの区切りともいえます。気持ちを引き締めて、作業を進めていきたいと思います。

プロジェクト化するに当たっては、メンバーの拡充を図っています。最近はどのプロジェクトも人手不足で十分なマンパワーの確保は難しく、「はやぶさ2」も例外ではありません。ですが、なるべく多くの人に関わってもらいたいという思いは強く、「はやぶさ」の経験者はもちろんのこと、若手もかなり登用したチーム編成となりました。これで、技術の継承もできるものと考えています。

今後はしばらく、設計の作業が続きます。設計というと、「はやぶさ2」の場合には「はやぶさ」と同じなのであまりやることがないのではないか、と思われる方がいるかもしれません。確かに、設計の基本的な考え方は「はやぶさ」を踏襲するわけですが、実際には「はやぶさ」での不具合を直したり、すでに部品が存在しないものについて代替品を探したり、さらには新規の装置もあり、すべてが「はやぶさ」で経験済みということではありません。つまり、新規の探査機ほどではないにしても、かなりの作業が発生します。まさにその作業を、現在行っているところです。設計の作業が一通り終わると、それを審査する会合が持たれて、無事通過すればいよいよ製作が始まる、という段取りになります。

さて、これまでもずっと「はやぶさ2」と呼んできましたが、プロジェクト名が正式に「はやぶさ2」となりました。プロジェクトは普通、コードネームとして、例えば「はやぶさ」ならMUSES-Cという名前が付けられていましたが、今回はコードネームに対応するものが「はやぶさ2」になります。これは、すでに多くの方になじみの名前であるためです。つまり、「はやぶさ2」という名前はコードネーム相当ですから、打上げ前後に新たな名前が付く可能性はあります。地球帰還まで今から約10年。頑張っていきたいと思います。

(吉川 真)