宇宙航空研究開発機構 サイトマップ

TOP > レポート&コラム > ISASニュース > 連載の内容 > ISAS事情

ISASニュース

能代ロケット実験場が宇宙科学研究所の所管に

No.362(2011年5月)掲載

能代多目的実験場は、2011年4月1日をもって宇宙科学研究所の所管となり、名称が能代ロケット実験場に変更されました。能代ロケット実験場は、1962年(昭和37年)の開設以来、観測機や科学衛星・宇宙探査機の打上げに供した固体燃料系ロケットモータや、液体水素/液体酸素をはじめとする液体燃料系ロケットエンジンの開発の場として使用されてきました。

所管については、1962年の開設当初から宇宙科学研究所(当時は東京大学生産技術研究所)であったものが、2003年10月の3機関統合により、各施設の運営の効率化を目指して角田宇宙センターに移管されました。以降、現在までの7年6ヶ月の間、実験場全体の管理は角田宇宙センターが行い、各種実験設備・機器の管理・運用は宇宙科学研究所との連携により運営してきました。その間、角田宇宙センターをはじめとする宇宙輸送ミッション本部や施設部ほかの方々のご尽力により施設の整備は進み、実験に際しても多大なご配慮をいただきました。しかし、実際の運用を振り返ると、実験の大半が宇宙科学研究所のものであって、そういう中における複数機関による運営は非効率な面が否めず、特に角田宇宙センターの負担は多大なものであったと推察しております。

以上の経緯から、このたびの移管となり、運営の効率化については改善されるものと考えております。しかし、これまで角田宇宙センターが担っていた管理業務全体が宇宙科学研究所に代わることで、体制の整備が急務となっています。整備に向けては、科学推進部、相模原契約、施設整備4課、宇宙科学プログラム・オフィスほかのご協力をいただきながら、能代ロケット実験場の職員も日々、奮闘しております。この体制を一日も早く安定させ、これから実施されるであろう高頻度再使用ロケット実験機、イプシロンロケット、そのほか将来型輸送系の試験や大学共同利用のための施設として貢献できるよう努めてまいります。幸い、新たな職員も採用され、実験場の皆も活気を持って取り組んでおりますので、皆さまにおかれましてもご支援くださるようお願い申し上げます。

(安田誠一)

移管後、最初の燃焼試験となった、高頻度再使用ロケット実験機(FRV-1)の燃焼試験の様子。