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ISASニュース

第1回小型科学衛星シンポジウム開催

No.361(2011年4月)掲載

3月1日に、第1回「小型科学衛星シンポジウム」を開催しました。今年から始めた新しいシンポジウムですが、120名の参加者、60件の発表(口頭・ポスター合わせて)と大盛況のシンポジウムとなりました。

宇宙科学のさまざまな分野の多彩な要求にタイムリーに応えていくために、宇宙科学研究所では、小型科学衛星シリーズ(SPRINT)計画が進められています。この小型科学衛星シリーズでは、「標準バス」という新しい考え方が導入されています。それにより、「セミオーダー型」の人工衛星として、低コスト化・開発期間短縮の実現を目指しています。

小型科学衛星1号機には、地球型惑星の大気散逸メカニズムや木星内部磁気圏活動のエネルギー源を調べるための極端紫外光(EUV)分光望遠鏡の搭載が予定され、2013年度の打上げを目指して開発が進められています。続く2号機では、地球近傍宇宙空間(ジオスペース)における最高エネルギー粒子の生成メカニズムを探る内部磁気圏探査ミッションが予定され、2014〜15年度ごろの打上げを目指しています。

本シンポジウムは、これらに続く3号機以降のミッションを議論するためのものです。ただし、小型科学衛星シリーズの特徴である「タイムリー」なミッションを「セミオーダー型」の衛星で実現するというのは、決して容易なことではありません。セミオーダー型ということは、ある程度の柔軟性はあるものの、制約もあるということです。その制約の中でタイムリーなミッションを実現するためには、優れたアイデアが必要です。小型科学衛星3号機に向けては、10を超えるワーキンググループがさまざまなアイデアを提案し、競い合っています。本シンポジウムは、ワーキンググループ間の情報共有と切磋琢磨の機会と位置付け、優れた将来ミッション創出の一助となることを目指し開催したものです。小型科学衛星シリーズが、新しい形の宇宙科学研究を産み出していくことを期待しています。

(シンポジウム世話人 中川貴雄/橋本樹明/佐藤毅彦)

ポスター会場での議論にも熱が入る参加者たち