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ISASニュース

第3回宇宙科学奨励賞 石原大助氏に授与

No.360(2011年3月)掲載

財団法人宇宙科学振興会では宇宙理学・宇宙工学の分野で優れた研究業績を挙げた若い研究者を表彰し、宇宙科学分野の発展に寄与することを目的とした宇宙科学奨励賞を平成20年度に創設しました。今年度、その第3回として各界に推薦依頼をしましたところ、関係学会から多数の推薦が寄せられました。財団では各分野の有識者で構成される選考委員会を設け、候補者の審査・選考を進めていただきました。

その推薦に基づき当財団理事長の決裁を得て、今年度は名古屋大学のGCOE研究員、石原大助氏が研究課題「『あかり』衛星による中間赤外線全天サーベイ」により受賞されることになりました。本賞は原則として毎年、理学関係1名、工学関係1名に授与することとなっております。今年度は、選考委員会より工学関係には該当者なしとの判断をいただきましたので、工学関係者への授賞を見送りました。

石原氏は1999年に東京大学大学院理学系研究科天文学専攻に進学されて以来、当時、宇宙研が開発中であった赤外線天文衛星「あかり」の中間赤外観測グループに参加し、サーベイ用のカメラ(IRC)の機器開発に中心的役割を果たしました。また、衛星打上げ後の運用にも参加され、取得された膨大なデータの整約、解析にも中心的役割を果たし、自ら開発した解析ソフトを用い、およそ5年間を費やして波長9μmの全天マップの作成作業を完遂しました。こうして石原氏を中心とした「あかり」チームメンバーの努力により完成された中間赤外全天マップからは、点光源カタログとして、9μm帯で85万個以上、18μm帯で約20万個の天体が抽出されました。これは既存のIRASカタログを一新するもので、今後この「あかり」中間赤外線全天サーベイのデータベースを用いた未知の天体の発見や不思議な天文現象の解明が進むことが期待されます。

宇宙科学振興会は今回受賞された石原氏がいっそう精進され、今後とも日本の宇宙科学推進の中心としてご活躍されることを期待しております。また、この宇宙科学奨励賞は当財団の大切な事業として今後も継続・発展させていく所存ですので、関係者の皆さまの応援を心よりお願い申し上げます。

(財団法人宇宙科学振興会 事務局長 長瀬文昭)

石原大助氏