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ISASニュース

「はやぶさ」チームが朝日賞を受賞

No.359(2011年2月)掲載

「はやぶさ」プロジェクトチームが2010年度の「朝日賞」を受賞し、1月27日、帝国ホテルにて授賞式が行われました。受賞理由は、産官学の協力による世界初の小惑星探査往復飛行で、JAXAはもとより、大学関係者、そして産業界、メーカーさん全体での受賞です。大学関係者を代表して現・同志社大学、当時は京都大学の土屋和雄先生、また産業界を代表してNECの萩野慎二さんとともに、賞状と目録、ブロンズ像を頂きました。関係された方々を代表して、産官学から50余名の方々とともに授賞式、そして祝賀会に参列させていただきました。皆さんがとても喜んでおられ、本当によかったなと思った次第です。

受賞者からのスピーチということでもお話しさせていただきましたが、我々「はやぶさ」チームは、日本の宇宙開発50年のこの時期にたまたま、このプロジェクトを担う立場にあっただけで、諸先輩方が多大な努力をもって築かれた多くの業績の礎の上に今回の成功があったものと思っています。先輩の皆さま、もちろん同僚の皆さま、本当におめでとうございました。

これもスピーチで触れさせていただいたことですが、エピソードを一つご披露したいと思います。カプセルがオーストラリアに着陸し、記者発表を行った後、こんなことがありました。コンビニで野菜ジュースをレジに置いて支払いをしようとしたときです。気付くと、店員さんが、まじまじと私の顔を見ています。そして、少し間をおいて、こう言ったのです。「砂が入っているといいですね」。野菜ジュースに砂が入っていてよいことはありません。一瞬、つながりが分からなくて困惑しました。しかし、すぐにその意味を理解し、たくさんの方が「はやぶさ」の帰還に関心を持ってくださっていたことを、本当にありがたく思いました。幸いにして、微粒子ではありましたが、「はやぶさ」帰還カプセルからイトカワ起源の物質が確認され、現在分析が行われているところです。帰還できただけでも夢のようでしたので、関係の皆さんもまた、夢を超えた成果で感慨無量というところではないかと思います。

この成果をリセットすることなく、次の世代が新たな進展をこれに重ねていってもらえたらと願ってやみません。

(川口淳一郎)

受賞のスピーチをする川口教授と萩野氏(中央)と土屋氏(右)。
(写真提供:朝日新聞社)