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ISASニュース

フェルミLATチームがブルーノ・ロッシ賞を受賞

No.359(2011年2月)掲載

ブルーノ・ロッシ賞(Bruno Rossi Prize)は、米国天文学会の高エネルギー天文学部門より、高エネルギー天文学の発展に多大な貢献のあった研究に対して毎年贈られるものです。2011年のブルーノ・ロッシ賞は、フェルミ衛星のLAT(Large Area Telescope)検出器の開発によって、中性子星、超新星残骸、宇宙線、近接連星系、活動銀河核、ガンマ線バーストに関する目覚ましい研究成果創出を可能にしたことに対して、ビル・アトウッド、ピーター・マイケルソンとフェルミ衛星LATチームに贈られました。フェルミLATは、米国スタンフォード大学を中心として米国、日本、イタリア、フランス、スウェーデンの研究者からなる国際共同チームにより開発されました。日本から広島大学、JAXA宇宙研、東京工業大学などが参加し、さらに釜江常好先生がスタンフォード大学においてLAT開発の主要なメンバーとして貢献されました。LATの心臓部ともいえるシリコン・マイクロストリップ検出器は日本の貢献なしには実現し得なかったものです。

ブルーノ・ロッシ賞は1985年に始まった賞で、これまで日本からは、1989年に超新星1987Aからのニュートリノの検出でカミオカンデチームが(米国IMBチームと共同受賞)、2001年にX線天文衛星「あすか」による重力の効果を受けた活動銀河核の鉄輝線の研究で田中靖郎先生が(英国のA. ファビアンと共同受賞)受賞しています。

(満田和久)

フェルミ衛星LAT検出器の全天ガンマ線マップ フェルミ衛星は、約90分で地球を一周し、衛星の姿勢を動かすことで2軌道周期で全天をスキャンする。この図は、3ヶ月の観測データを積分したもので、中央に輝く銀河面のほかにパルサー(中性子星)や活動銀河核などが見える。黄道面に沿って動く太陽も写っている。
新しいウィンドウが開きます http://www.nasa.gov/mission_pages/GLAST/news/gammaray_best.html より)