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ISASニュース

第5回「かぐや」拡大サイエンス会議開催

No.359(2011年2月)掲載

1月17日から3日間、早稲田大学の西早稲田キャンパスで月周回衛星「かぐや」の拡大サイエンス会議が開催されました。打上げ前の2007年から毎年この時期に海外の共同研究者を含めて国際会議を開催しており、今回が5回目になります。今回の参加者は、多忙な時期にもかかわらず日本全国から約80名、海外からは米、英、仏、独、中、韓、スイス、ウクライナ、香港、マカオの研究者が22名参加しました。

昨年までは「かぐや」の運用会議も兼ねていたため、参加者は原則として「かぐや」チーム限定でした。「かぐや」の運用が終了し、データの一般公開が開始された今回からは、チーム外の研究者の参加を歓迎し、さらに将来の月探査につなげる意味で、SELENE-2や将来月探査のセッションを設けました。

月の科学はアポロ月探査で幕を開け、その後の20年以上の成熟期を経て今、再び熱気を帯びています。それは90年代以降に7機の月周回機が飛び、多くの新たな観測データが収集されたためです。その中で観測データの種類や精度で際立つのが「かぐや」です。撮像・地形、重力・高度分布、元素組成・分光観測、磁気・プラズマ物理、将来月探査の各セッションで口頭40件、ポスター13件の報告があり、最新のデータ解析結果の議論が行われるなど盛況でした。

 本会議に先立って行われた、「かぐや」とインド月探査機「チャンドラヤーン1号」に搭載された米国機器との相互較正や、中国月探査機「嫦娥1号・2号」との共同研究振興の目的で中国と共催(開催場所はマカオ)した国際会議についての報告もありました。

 固体惑星科学は宇宙研の中では後発の部類ですが、「はやぶさ」「かぐや」と科学成果を世界に向けて発信し、日本発のデータや研究が海外からも認知されてきたと実感するようになってきました。来年も第6回拡大サイエンス会議を開催する方針であり、「かぐや」データによるさらなる月科学の発展につなげていければと願っています。

 最後に、会議室の借用や会議の運営に多大なる協力をしていただいた早稲田大学の長谷部先生、唐牛さんにこの場を借りてお礼申し上げます。

(岡田逹明)

第5回「かぐや」拡大サイエンス会議の参加者