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ISASニュース

「はやぶさ」カプセル全国巡回中

No.358(2011年1月)掲載

昨夏、7月30〜31日の特別公開に併せて相模原市立博物館で世界初公開された「はやぶさ」再突入カプセルは、日本各地を転々としています。夏休み期間中に筑波宇宙センター、丸の内オアゾ、日本科学未来館を回り、その後、角田宇宙センター、近鉄百貨店阿倍野店、調布航空宇宙センター、名古屋市科学館、国立科学博物館、内之浦宇宙空間観測所などを巡りました。今後は公募で選ばれた場所を、2010年度末までに16ヶ所(公募外も含めると26ヶ所)、そして来年度も40ヶ所を巡回する予定です。

巡回先の選考・調整作業は困難を極めました。ある程度予想はされたことですが、年52週しかないところに119件もの応募があったからです。公募の際の募集要項にあった「地域や都道府県のバランス、展示施設の立地・種類・規模、交通の便など、もろもろの要素を総合的に考慮」という基準で選定していくわけですが、会場側にも受け入れ可能な日程には制約がありますし、輸送に伴うカプセルへのダメージや費用を最小にとどめるためには巡回路のデザインも重要です。もちろん研究や保守点検のための日程もある程度は確保しなければなりません。外部有識者を含む選考委員会で議論を重ねて最終的にリストアップされた候補地が、上記の56ヶ所なのです。この中には、すでに確定したところもありますし、まだ調整を要するところもあります。詳細が確定し次第、ご案内したいと思います。

全県をカバーできたわけではありませんが、限られた時間で全国のかなりの地域を回ることができるのではないかと思います。私たちの手元には、すでに公開を終えた団体からの報告書や見学者から寄せられた意見なども届き始めています。全国巡回の先陣を切り、4日間で2万6280人の来場があった呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)からは以下のコメントをいただきました。――開催決定から日数がない中、準備も急ピッチで行われ、11月20日(土)から23日(火・祝)の4日間の一般公開を無事終了しました。公募としては全国初、また中四国・九州地区でも初お目見えということもあってか、いずれの日もオープン前から長蛇の列ができ、しかも夕方まで絶え間なく続く盛況ぶりでした。今回注目されたのは、「はやぶさ」の数々の偉業(科学技術)ですが、何よりも幾度となく訪れた困難やトラブルに果敢に挑んでいくチャレンジ精神こそ、次につなげ伝えていかなければならないものだったのではないでしょうか。このたびの展示にあたり、好奇心・冒険心・匠の心を与えてくれた「はやぶさ」に「おかえり」、そして「ありがとう」と伝え、またいつの日か呉の地で会えることを楽しみに待っています。――

また、佐賀で展示を見た小学生の女の子がつくってくれた詩も届きました。とても素敵な作品ですので、この場を借りてご紹介します。カプセル展示をまだご覧になっていない方は、近くを巡回する折にホンモノをぜひご覧いただき、この少女のように何かを感じ取っていただければ幸いです。

(阪本成一)