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ISASニュース

「おおすみ」40周年記念式典と特別公開

No.358(2011年1月)掲載

日本初の人工衛星「おおすみ」の誕生から2010年で40周年になることを記念して、打上げの地である内之浦で12月4日に記念式典を開催しました。内之浦の銀河アリーナの大ホールをメイン会場にして、小野田所長、鹿児島県知事、肝付町長のあいさつで式典は始まり、地元選出の国会議員お二方と文部科学省からいらっしゃった来賓から祝辞を賜りました。あいさつから祝辞を通じて語られたことは、「おおすみ」に始まった宇宙開発の発展に内之浦をはじめとする鹿児島県の方々の支えが必要不可欠であったことと、それに対する感謝でした。その後、「おおすみ」打上げのころの思い出を地元の方々に語っていただきました。当時を知る人は、鮮明にそのころを思い起こされたことと思います。そして、宇宙科学研究所所長であった秋葉先生と鹿児島宇宙空間観測所の所長であった的川先生の基調講演で会場の雰囲気は最高潮となり、ある種の一体感に包まれました。その夜には肝付町主催でレセプションが開催され、会場のあちこちで当時のことから現在、そして宇宙開発の未来について尽きることのないお話の輪ができていました。

この式典と並行して、12月4日から6日まで「はやぶさ」のカプセルの特別公開も行いました。「はやぶさの里帰り」と銘打って、7年前にMUSES-Cと呼ばれていた「はやぶさ」の最終調整を行ったM組立て室のクリーンルームに、60億kmの旅を終えたカプセルを展示しました。観測所の外の4ヶ所に臨時駐車場を設けて、来場された方々を観測所までシャトルバスで運んだのですが、多くの方々に来ていただいた結果、バス待ちが最大1時間半程度になったそうです。5日は施設特別公開も行い、ネットではオールスターズと評された的川、山田、森田、川口の各先生方の講演や、「はやぶさ」を打ち上げたランチャの勇姿、宇宙服の着ぐるみコーナー、銀河連邦の物産展など、多くのイベントで盛り上がりました。カプセルへの関心は非常に高く、世界で唯一の実物を皆食い入るように見つめ、涙を流す方や拝む方もいらっしゃいました。6日には、児童・生徒向けのカプセル公開を行い、多くの子どもたちが山田先生の説明を熱心に聴きながら、メモや写生をしていました。肝付町の招待で、昨年秋の大雨で被災した奄美大島の子どもたちも見学に訪れ、たいへん喜んで帰られたと伺いました。

3日間を通じて、およそ9000人の方々がいらっしゃいました。これらのイベントはJAXA内の協力はいうまでもなく、肝付町や鹿児島県、警察などの方々からの多くの支援や温かい理解に支えられて、無事終了することができました。所長として、地元の方々が内之浦宇宙空間観測所を非常に大切にしてくださっていることに強く感じ入り、ただただ感謝した3日間でした。

さて、来年はいよいよ観測所が誕生して50周年になります。

(峯杉賢治)

会場である銀河アリーナ玄関前に飾られている、お手製感いっぱいの「はやぶさ」モニュメント。