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ISASニュース

第4回MAXI国際会議「The First Year of MAXI」開催

No.357(2010年12月)掲載

11月30日から12月2日の3日間、青山学院大学(青山キャンパス)で全天X線監視装置MAXIの国際会議が、約130名(外国からは13ヶ国33名)を集めて開催されました(主催:理化学研究所、共催:JAXA・青山学院大学・東京工業大学)。MAXIは、国際宇宙ステーションの「きぼう」の船外実験装置として搭載されています。データ取得開始から1年余りのMAXIの成果を多くの共同研究者と共有し、今後の戦略を議論しました。3日間でMAXIの報告、招待講演と応募講演合わせて36講演、ポスターは69編が発表されました。

初日は、草食系(質量降着が少ない状態を長期間持続する)ブラックホールXTE J1752-223やMAXI発見のブラックホールMAXI J1659-152を中心に、日米欧の研究者による熱い議論が繰り広げられました。現在はX線・ガンマ線による全天モニタが盛況の時代です。まだ健在のRXTE衛星、硬X線監視と迅速な追跡のSwift衛星、銀河中心を長時間監視しているINTEGRAL衛星、GeVガンマ線で全天監視のFermi衛星。皆が一堂に会し、おのおのが発見した新天体をフォローアップし正体を解明する体制を議論しました。2日目には、MAXIの増光速報に基づくX線天文衛星「すざく」のフォローアップ観測により、X線パルサーGX 304-1からサイクロトロン吸収線が発見されたことが発表されました。またMAXIが1ヶ月前に発見した新天体MAXI J1409-619からは「今朝Swiftが500sのパルスを発見」という最新ニュースも飛び込んできました。3日目は、多数の可視光変動天体を発見しているCRTSやPTFおよび「すばる」、LSSTなどの地上からの広天域モニタ、1年後に打上げ予定のインドのAstrosat衛星などが紹介されました。

低エネルギーのX線まで感度を持つ世界唯一の全天X線モニタMAXIへの期待は高く、今後長く観測を続けてほしいとの要望が出されました。

なお、本会議には、宇宙科学振興会、文部科学省科研費特定領域「ガンマ線バースト」、青山学院大学総合研究所からの補助を頂きました。深く感謝致します。会議の詳細は、http://maxi.riken.jp/FirstYearでご覧いただけます。

(理化学研究所/三原建弘)

国際会議「The First Year of MAXI」集合写真