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ISASニュース

宇宙学校〜なすこうげん・さっぽろ〜

No.356(2010年11月)掲載

世界宇宙週間の10月9日、栃木県那須町にある那須高原海城中学校・高等学校(校長 清水一茂)において、「宇宙学校・なすこうげん」を開催しました。学校を会場とした宇宙学校は、これが初めてとのことです。

今年の3月、インターネット上で宇宙学校開催地の公募を知り、思い切って応募したのが事の始まりです。本校の応募に対して、宇宙科学研究所の広報・普及担当者から電話が入りました。「宇宙学校は、特定の団体や学校のためのものではない。宇宙学校の広報活動や会場設営はできるのか」という確認でした。もちろん、開催校としては自校の生徒に的を絞ったものとして実施したいのはやまやまですが、開放的校風の本校に関して、その確認は杞憂に終わりました。

宇宙学校の当日、小雨が降るあいにくの天気でしたが、栃木県那須町、福島県白河市、同県西郷村の小中学生とその保護者が110人ほど、本校の体験入寮に来ていた小中学生と保護者が約30人、そして本校の中学1、2年生約50人が体育館に集まりました。その中には、宇宙少年団(白河分団)の子どもたち10名ほどもいました。

午後1時の開校式に始まり、1時間目は、宇宙学校校長の阪本成一教授による「見えないひかりで見る宇宙」、2時間目は清水幸夫主任開発員による「小惑星探査機『はやぶさ』が目指したもの」です。

質問の口火を切ったのは、本校生徒の「ブラックホールってなんですか?」でした。それでいいんだと理解した参加者は、次々と質問の挙手をすることになりました。

学校実施ならではの特徴が二つありました。一つは、会場設営、駐車場案内そして質問のマイク渡しなどで、本校の生徒が協力したことです。もう一つは、参加者募集のため、本校教員が近隣の小中学校を訪問し、案内プリントの生徒配布を依頼したことです。その効果は絶大でした。

(那須高原海城中学校・高等学校 北川達彦)

休憩時間、講師のまわりに集まる参加者たち。

10月23日、札幌市青少年科学館にて、「宇宙学校・さっぽろ」が開催されました。JAXAの嶋田徹先生からロケットのお話を、山田和彦先生から「はやぶさ」のお話をしていただきました。宇宙学校校長の阪本成一先生には、特に質疑応答の際にお話をしていただきました。

科学館側からはロケットのサイエンスショーを行い、見た目によく分かる面白い実験を見ていただきました。一つ目は、傘袋ロケットを飛ばす実験です。思いのほかヒューっと遠くまで飛んでいきます。初めてのお友達でもうまく飛ばすことができました。傘袋ロケットを巨大化したものも登場させました。長さが3〜4mもあって存在感たっぷりです。飛ばすだけで迫力があり、皆さんに喜んでいただけたようです。この実験については、宇宙学校終了後、ロケットのプロ、嶋田先生より助言をいただきました。重さで袋が曲がる点について、「ロケットの長さ方向に1〜2本ガムテープを貼っておくといい」とのことでした。次回はそのように改良したいと思います。二つ目にドライアイスロケットの実験を行い、そして最後は少し難しい実験を行いました。アルコールを使ってペットボトルのロケットを飛ばす実験です。ワイヤに設置したロケットに竹串を取り付け、飛んで行く先には紙吹雪を入れた風船を用意しました。うまく飛ぶとロケットが風船を割る、という仕掛けです。当日まで何度も予備実験を繰り返しましたが、本当のところを言うと失敗してしまうことが多かったのです。成功するかどうか不安でしたが、本番では勢いよく飛んでいき、風船を割ることができました。紙吹雪の舞う中、会場からは拍手が起こりました。

参加者の方々からはたくさんの質問をいただき、大変盛り上がりました。特に熱心にお話を聴いている子どもたちの姿がとても印象的でした。このような機会をつくってくださり、どうもありがとうございました。

(札幌市青少年科学館・佐々木絵美)

巨大傘袋ロケットの迫力に歓声が上がった。