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ISASニュース

「お届けします! あなたのメッセージ 暁の金星へ」募集結果

No.347(2010年2月)掲載

金星探査機「あかつき」にメッセージを託して金星に届けようというキャンペーンを、2009年10月23日から1月10日まで約2ヶ月半行ってきました。このためにプロジェクト側から提示された予算はゼロ。経費を掛けずに最大限の効果を得るための挑戦の始まりでした。

まず、個人応募はインターネットでの受け付けと割り切り、キャンペーンパートナーの公募で選んだ世界天文年2009日本委員会のサーバーに託しました。インターネットを使えない方や直筆を希望される方向けには団体応募枠を設け、寄せ書きなどを直接募集しました。国外向けには米国惑星協会や世界天文年2009本部と連携して展開を図りました。

この種のキャンペーンに目新しさがなくなりマスメディアに大きく取り上げられにくくなった中で成否を分けるのは、認知度をいかに高められるかと、参加のための敷居をいかに下げられるかです。ただ、数にこだわると宇宙科学の意義を伝える本来の目的がないがしろになりがちで、両立はたやすいことではありません。

最後の頼みは、培ってきた人脈と自分たちの足。JAXA宇宙教育センターのパイプを利用した全国の学校1万5000校への周知や職員の母校への個別連絡、相模原市など自治体を通じた地域住民への周知と記帳所の設置、連携実績を持つ科学館・プラネタリウムなどへの協力要請、JAXAの展示室やイベントでの寄せ書きなど、地道な取り組みで輪を広げていきました。マスメディアを動かすために衛星の機体公開をキャンペーン期間中に実施したほか、職員の出演番組や連載記事なども活用しました。若者向けのフリーペーパーやマンガ雑誌などに売り込んだのも新たな試みでした。

それでも12月半ばの時点では集まりが悪く、やきもきしましたが、学校からの団体応募が締め切り直前に続々と届き、最終的には26万人となりました。そのうち団体応募は、月周回衛星「かぐや」の「月に願いを!」キャンペーンを上回る14万人強。1学級が典型的に40名だとして、この数の持つ意味はとても大きいと思っています。皆さまから寄せられたメッセージは、アルミプレートに刻印も済み、「あかつき」への搭載を待つばかりです。

メッセージ募集は終わりましたが、ここで得た縁を通じて今後の進捗をお伝えします。本番はむしろこれからです。

(阪本成一)

アルミプレートに刻印されたメッセージ