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ISASニュース

「宇宙学校」開催〜おおふなと・とくしま〜

No.347(2010年2月)掲載

新たな年を迎えて、1月9日に岩手県大船渡市で「宇宙学校・おおふなと」が開催されました。ご存じの通り、大船渡市三陸町には2007年まで三陸大気球観測所が設置され、36年間にわたってさまざまな宇宙科学実験が行われてきました。観測所の閉所後も大船渡市とJAXAでは宇宙科学の普及活動などについて連携協力を進めることとしており、今回その一環として宇宙学校が開かれた次第です。

会場は、竣工1年余りの真新しい大船渡市民文化会館リアスホール。午前9時開校だったのですが、8時過ぎに私たちがホールに着いたときにはもう屋外で待っていらっしゃる方もあり、開校までには約120名が集まりました。1時限目は「宇宙に飛び出そう」というタイトルでロケットと気球のお話、映画を挟んで2時限目は「太陽系を知ろう」というタイトルで特に惑星磁場のお話となりました。私が担当した気球の話題では、科学の学校である以上、参加者の皆さんに何か実際に体験していただこうということで、三陸大気球観測所で無人気球到達高度世界記録を樹立した超薄膜高高度気球用のポリエチレンフィルムに触れて、そして引っ張ってもらい、その薄さと強さを実感していただきました。参加者の皆さんは私たちの話をとても集中して聞いてくださったようで、宇宙学校名物の質問の時間では話の内容を中心に質問がひっきりなしに続いて、申し訳ないことに午前中だけの宇宙学校ではすべての疑問に答え切れませんでした。実は、1時限目と2時限目の間の映画「私たちは星のかけら 星の一生と物質循環」は超新星爆発や元素合成などのテーマを扱っており、もしもっと余裕があったら、きっと私たちをあたふたさせるような質問が続出していたはずで、ヒヤヒヤしながらの3時間でした。

JAXAでは今後も大船渡市との連携協力を進め、宇宙学校という形ではないかもしれませんが、毎年宇宙に関する行事を続けていく予定です。また大船渡にお邪魔しますので、皆さんいろいろな疑問を温めておいてください。

(吉田哲也)

大船渡に関係の深い気球の話に興味津々

1月23日、今年度最後となる「宇宙学校」を徳島県立あすたむらんど子ども科学館との共催で開催しました。あすたむらんど徳島は、科学と自然にあふれる大型公園で、今回の会場となった子ども科学館のほかにプラネタリウムなどの施設があります。今回のキャッチコピーは「宇宙に夢中!」。事前申し込みと当日申し込みを合わせて74名の生徒が多目的ホールに集まりました。

開校式後の1時限目は筆者担当の「ロケットのはなし」。「ロケットはなぜ宇宙まで行けるの?」をテーマに、ロケットの仕組みについて映像を交えて話しました。授業時間50分のうち、講師の話は15分程度で、その後は生徒と講師の質疑応答になります。「ロケットの推進剤は何?」「失敗はないの?」「これまでいくつのロケットが打ち上がったの?」「切り離したロケットはどこに行くの?」など、多様な質問のやりとりを通じて会場に一体感ができました。

2時限目は阪本成一先生による「宇宙飛行士と国際宇宙ステーション」。「きぼう」日本実験棟での宇宙飛行士の仕事・生活や宇宙飛行士になるための要件などの話に会場は興味津々という様子で、「宇宙でどうやって寝るの?」「どんな宇宙食があるの?」「トイレは?」など、活発なやりとりがありました。

3時限目は中澤暁先生による「『かぐや』でわかったこと」。月の裏面が表面と比べてデコボコになっているなどの観測データが紹介され、会場からは「なぜ表と裏で様子が違うの?」「月はなぜ地球から遠ざかっているの?」「月にも地震があるの?」のほか、ブラックホール、宇宙生命など、宇宙にかかわるいろいろなことを話題にしました。

筆者は宇宙学校に参加するたびに、子どもたちの好奇心・向学心を強烈に感じます。講師たちもドキドキしながら、みんなからエネルギーをもらっているのです。すべての関係者の方々、ありがとうございました。

(嶋田 徹)

講演後も参加者からの質問は途切れませんでした