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ISASニュース

「はやぶさ」カプセル回収のための電波方向探査実験

No.346(2010年1月)掲載

今年地球に帰還する予定の小惑星探査機「はやぶさ」のカプセルは、地球大気に突入し減速した後、落下傘を展開しゆっくり降下しながらビーコン電波を発信します。これを周辺地域に配置した複数の電波方向探査局で受信して電波飛来方向を測定し、三角測量の要領で着地点を特定する計画です。この技術検証のため、2009年11月30日より12月10日まで、内之浦宇宙空間観測所と、直線距離で約30km隔てた対岸の都井岬の2ヶ所にて、「はやぶさ」カプセル回収のための電波方向探査実験を実施しました。本番ミッションに備えた精鋭23名が参加しました。空中のカプセルを模擬するために、セスナ機やガス気球にビーコン送信機を乗せて、目視確認できるほどの近場や100kmも先のはるか海上の彼方に飛ばし、方向探査と位置決定技術の検証および技量の向上を目指しました。同時に、機材の野外における組み立てや較正、衛星電話など各種通信機材を用いた複数遠隔局間の情報交換の実施訓練を行いました。

天候に恵まれ当初の予定を120%こなすことができ、方向探査技術も所定の性能が確認され、地球に帰還した「はやぶさ」カプセルからのビーコンの検出に自信を深めることができました。最大の収穫は何といっても、1週間以上の団体生活を介して、回収班員のチームワークが醸成されたことでしょう。実験場や都井岬近隣の方々にご協力いただきまして大変ありがとうございました。

(國中 均)

セスナ機の飛来を待つ内之浦班員と方向探査機材。上空に小さくセスナ機を望む(矢印)。