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ISASニュース

「世界天文年2009」閉幕

No.346(2010年1月)掲載

ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡で宇宙を初めて観察してから400年に当たる2009年。国際天文学連合では国連やユネスコに呼び掛けてこの年を「世界天文年2009」と定め、宇宙を身近なものにする取り組みを世界的に進めてきました。イタリアと並び共同提案国となった日本では、これを一部の経済的に豊かな国で進めるのではなく、世界全体で実施するよう働き掛け、12月の閉幕までに148の国と地域が参加しました。

日本国内での取り組みは、世界天文年2009日本委員会の事務局を務めた国立天文台や我々JAXAなどの研究機関、全国に展開する科学館・プラネタリウム・公共天文台などが緊密な情報交換をしながら組織的に動いたことに加え、高い意識を持つ一般市民が参加したことで、世界的に見ても傑出したものとなりました。日本委員会が公認したイベントは実に約2900件にも及び、それを実施した約840団体の多くは、世界天文年を通じて初めて天文関係のイベントを企画したという集計結果が出ています。JAXA宇宙科学研究本部でも、国内にとどまらず、NASAやESAなどの大組織に伍して世界企画に参加しました。私個人も世界企画の取り組みの一つとして、和英併記のブログを2日に1回以上のハイペースで更新し、ユニークな日本国内での取り組みを世界に発信しました。

世界天文年は閉幕しましたが、1年かけて燃え上がった火をここで絶やすことのないよう、活動をなにがしかの形で継続するための検討が進められています。国際天文学連合では“Beyond International Year of Astronomy 2009”と題して、2010年にも活動を継続することを決めました。日本でも、神戸市で12月5日から6日にかけて開催されたグランドフィナーレで「世界天文年2009から未来へ」と題した宣言を採択し、やり方は少し変えるにしても、取り組みを継続することになりそうです。

2月には「おおすみ」の打上げ40周年を迎え、その後、「あかつき」と小型ソーラ電力セイル実証機IKAROSが金星へと向かい、小惑星探査機「はやぶさ」の地球への帰還が期待されています。2010年も宇宙ファンにとって目が離せない年となることでしょう。

(阪本成一)

世界天文年2009の世界企画の一つ「天文学者のブログ(Cosmic Diary)」