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ISASニュース

ESAコスミック・ビジョン公開ミーティング

No.346(2010年1月)掲載

2009年12月1日、「コスミック・ビジョン(Cosmic Vision)」の中型ミッション・ダウンセレクションに向けた公開ミーティングが、フランス・パリで行われました。コスミック・ビジョンは、ESA(欧州宇宙機関)が2015年から2025年にかけて打ち上げる科学衛星の構想です。大型と中型のミッションのうち、まずは中型の選定が行われました。日欧協力が前提のスピカ(赤外天文)、クロス・スケール(宇宙プラズマ)、マルコポーロ(小惑星サンプルリターン)の3つを含め、全部で6つのミッションが対象です。

公開ミーティングでは、パリに450名以上もの科学者が集まり、各ミッションのヨーロッパ代表がそれぞれ1時間ずつ発表を行いました。発表は、ほかの分野の専門家に自分のミッションの魅力をいかに伝えるかという点に重きが置かれ、非常に熱意のこもったものでした。当日の発表資料は、発表の録音、ミッション検討の結果(Yellow Book)とともに、新しいウィンドウが開きます http://sci.esa.int/science-e/www/object/index.cfm?fobjectid=44880にまとめられています。

今回、日欧協力提案についてJAXAにおける位置付けと日欧の役割分担について話すよう、JAXAに依頼がありました。これは、それぞれのチームの発表が国際パートナーの意図するところと齟齬がないことを確認するという性格のものです。私がJAXAの立場で3つのミッションに対するプレゼンテーションを行いました。

ミーティングの最後に、ESAが自らのレビューとコスト見積もりに基づいたまとめの発表を行いました。今後は、ESAのもとに置かれた科学委員会でサイエンスの評価が行われます。さらに、本当に必要なコストや国際協力の可能性などを考慮に入れた上で、2月には、この中から最大で3つから4つのミッションが選ばれ、次のステージに進みます。

(高橋忠幸)

Institut Océanographiqueで行われた「Cosmic Vision M-class missions presentation event 2009」の様子(写真:ESA/P. Sebirot)