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宇宙科学の最前線

超小型衛星の挑戦 宇宙科学の大変革を目指して 宇宙構造・材料工学研究系 教授 松永 三郎

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図2
図2 M-V型ロケットに搭載されたCute-1.7+APD


 図2の超小型衛星Cute-1.7+APDは、松永研2機目の軌道周回衛星であり、理学系研究室(東工大・河合研)との共同開発で、バス系を松永研、センサ系(APD[アバランシェ・フォトダイオード]センサ)を河合研が担当した。2006年2月、M-V型ロケット8号機サブペイロードとして打ち上げ、初期運用に成功した。しかし、放射線障害による不具合が発生し、1ヶ月弱の運用で終了した。2009年10月に小笠原沖にて大気圏に再突入・消滅した。

図3
図3 Cute-1.7+APDII


図4
図4 Cute-1.7+APDIIが撮影した日本上空写真
関東平野が見える


 図3のCute-1.7+APDIIは、前号機の設計を大きく見直し、信頼性を向上させた松永研3機目の超小型衛星であり、2008年4月、インドのPSLVロケットによって打ち上げられた。運用は3年を超えて行われ、多くのミッションを成功させた。特に、超小型CCDカメラによる地球の撮影画像(図4)は、国際アマチュア無線連盟(AMSAT)のウェブサイトにも掲載された。さらに、高感度APDセンサによる全天における低エネルギー粒子計測は世界初であり、報告論文は、地球物理学分野の最高峰雑誌に掲載され、季刊誌にてeditor's choiceに選ばれた。

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