(写真) 黒鉛超音波探傷法の公的規格化
(写真) 複合材タンクの液体水素充填加圧試験
(写真) 500N級セラミックスラスタ
(写真) βチタンボルト
(Ti-15V-3Cr-3Sn合金)
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(写真左)RVT 2002年10月25日 離着陸実験

(写真右)M-V-5号機
2003年5月9日 打ち上げ

研究内容

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我々の研究室は、日本でも数少ない、宇宙用構造材料をメインテーマとしている材料系研究室です。以前より、金属/セラミックス系材料について、複相組織に起因する高温での不均一な力学現象について、力学的解析とその実験的検証に取り組んできました。その一方で、
2000年のM-V-4号機打ち上げ失敗の原因究明を初めとして、衛星RCS用超塑性Tiタンクの開発、RCS用セラミックス製スラスタの開発、RVT用極低温複合材タンクの開発等、宇宙科学プロジェクト上の材料関連の不具合及び新規開発諸問題について携わっております。

























六方晶金属の室温クリープに関する研究

チタン合金(特にTi-6Al-4V合金)は高比強度材料として宇宙機に数多く使用されているが、室温で顕著なクリープ現象を起こす。この現象自体は古くに幾つか報告はあったが、その後ほとんど引用されてきておらず、我々が「はやぶさ」の試験中に再発見した。本研究では、この室温クリープ現象はチタンだけでなく六方晶金属に特有の新たな変形様式であることを明らかにし、現在、その変形メカニズムの研究を進めつつある。同時に、立方晶系のβチタンでは生じないことから、室温クリープによる締結力緩和の恐れのないβチタンボルトを開発し、「れいめい」の主構体組み立てに使用、無事に運用中である。

                   
                   

六方晶金属の室温クリープに関する研究

衛星・惑星探査機のスラスタは従来ニオブ合金で作られてきたが、Planet-Cプロジェクトにおける衛星推進班の一員として、耐熱温度(比推力)向上と国産技術化をめざして、窒化珪素製スラスタの開発を行っている。脆性セラミックス部材に対し多軸破壊統計論に基づく厳密な破壊確率の評価を行い、設計の精度を上げて信頼性を向上させた。これに基づきスラスタの試作を行い、機械環境試験と燃焼試験に成功した。

 脆性材料の破壊挙動は、微小き裂分布を仮定した破壊統計論とき裂進展挙動を記述する破壊力学の両者で予測することができるが、混合モード微小きれつに対する破壊力学が未構築であり、理論上欠けた部分となっている。

本研究では、混合モードの微小きれつ進展挙動について有限要素計算及び実験を行っている。また2段式軽ガス銃による高速衝突試験も行っており、セラミックス材料の耐メテオロイド衝突性の評価を行っている。



            

六方晶金属の室温クリープに関する研究

将来輸送系では抜本的軽量化のために推進剤(LH2, LOX)タンクの複合材(CFRP)化が不可欠とされているが、熱ひずみによるマイクロクラックからの推進剤漏洩が大きな問題となっている。宇宙研の再使用ロケット実験機プロジェクトにおいて、複合材タンク班の一員として、ライナを用いて漏洩を防止したタンクの開発を行っている。まず初めにAlライナ付複合材液体水素タンクの開発を行い、各種検証試験の後、「再使用ロケット実験機第3次離着陸実験(RVT-9)」において複数回の実フライトに供した。現在、Alライナを樹脂ライナに置き換えた全ポリマ化タンクを目指し、LCP(液晶ポリマー)ライナ付複合材液体水素タンクを開発中である。


         

六方晶金属の室温クリープに関する研究

M-V-4号機第1段モーターの黒鉛製ノズルスロートインサートの破損脱落による打ち上げ失敗において、M-Vチームの一員として、ノズルスロートインサートへの負荷(熱入力)の再評価と破壊統計論による強度解析を行った。その結果、健全な素材であれば破壊する可能性はきわめて小さいことから、素材製造時あるいは加工時に導入された欠陥が破損の原因であろうという結論を導いた。さらに、S-310プロジェクトにおいて、ノズルスロートの再設計と非破壊検査手法の開発を行い、S-310-30号機以降のフライトの成功を導いた。

 黒鉛材料に対する非破壊検査は従来ほとんどなされてこなかったが、この研究開発において、あらゆる方位の面状欠陥に対する超音波探傷方法を開発した。この方法は、現在JIS規格として制定され、さらにISOにおいて審議中である。この探傷方法は、黒鉛ばかりでなくセラミックスやチタン等の焼結製新素材に対しても有効なものである。