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宇宙理学

電波天文学

宇宙科学研究所の電波天文学のグループは、世界最初のスペースVLBI計画であるVSOPの牽引車として「はるか」衛星による観測を精力的に続けてきました。「はるか」は当初の予想を上回り、2005年3月まで、8年9ヶ月にわたって運用が行われました。

VSOP-2計画では、VSOP計画に継いで電波望遠鏡を搭載した人工衛星を宇宙に打ち上げ、高解像度の天体観測を実現します。VSOP計画であげた成果を基盤にして、さらにグレードアップした計画として検討をしています。計画に用いる衛星は「ASTRO-G」衛星と正式に決定し、いよいよプロジェクトが本格的に始動します。

「はるか」は 1997年5月7日に行った観測で、宇宙研の臼田64mアンテナとの間で電波干渉実験に初めて成功しました。この時観測した天体はクェーサーPKS1519-273で、観測波長は18cmでした。
右の図の中で鋭く立っている針状のものがこの時初めて得られた「干渉縞」で、これは「はるか」と臼田64mアンテナとでそれぞれ観測された信号が干渉していることを表しています。
この干渉縞は国立天文台三鷹にあるVSOP相関器で得られたものです。

VSOPで最初に行われた撮像観測のうち、「はるか」とVLBA(アメリカ全土に10個の電波望遠鏡を配置したVLBI観測網)との観測による、クェーサー1156+295の電波写真(観測波長18cm)です。

地球上の電波望遠鏡のみを使って描かれた電波写真が左上の図です。最も強い電波を出しているところが「コア」と呼ばれる部分です。 この「コア」の部分には中心に巨大ブラックホールがあり、そこに高温のガスや星間物質が落ち込んで、ほぼ光と同じ速さを持つジェットがつくり出されていると考えられています。

一方、地球上の電波望遠鏡に「はるか」を加えて描かれた電波写真が左下の図です。「コア」から飛び出したジェットがより鮮明に描き出され、ひとつひとつのジェットの成分をはっきりと見てとることができます。

解像度がこれまでよりも高くなったおかげで、私たちはブラックホールのより近くの状態を見ることができるようになり、それらの現象がどのようにして起きるのかを理解することができるようになりました。

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