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小惑星探査機 はやぶさ

軌道情報

2010年3月

2010年3月29日[更新]

「はやぶさ」は、順調にイオンエンジンの運転を続け、南極側を地球への衝突をさけつつ、夜側を通過する軌道に移ることに成功しました。
3月27日には、昨年春からの長かったイオンエンジンの連続運転を完了・終了しました。

BR-BT面上での距離は換算が必要ですが、目標点に到達した現時点では、最接近距離は地心から約2万km、高度にして約1.4万kmです。残るは、多数回の軌道の微調整で、現在、それにむけて準備を整えつつあります。

「はやぶさ」の軌道、南極側を通って夜側に。目標点まであとわずか

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2010年3月23日[更新]

「はやぶさ」のイオンエンジンは順調に運転されています。
連休をはさむことになり、更新が遅れてご心配をおかけしました。

今週から軌道の表示を詳細にしました。少し説明が必要です。
「はやぶさ」のカプセルを地球の大気に突入させるためには、突入速度を低減させるために、地球の自転方向に、つまり北極方向から見ると、反時計まわりに進入させる必要があります。

現在は、地球からみて太陽側(昼側)を通過する軌道になっていますが、それを太陽の反対側(夜側)を通過させる軌道へと移す必要があるわけです。スウィングバイして地球を出る方向は、夜側から接近すると逆の方向になります。
このとき、万一イオンエンジンが途中で停止することも考えると、一瞬でも地球に衝突させる軌道を通過させることはできないため、通過する軌道が南極のはるか上空を通るよう計画されています。

イオンエンジンの運転は3月の末まで継続しますが、運転を終了した時点では、誘導誤差が残ることが避けられないため、いきなり地球表面すれすれをねらうことは難しく、このため意図的に大きく離れた地点を通過するように、仮の目標を定めています。
「はやぶさ」の軌道修正では、化学エンジンを運転できず、太陽方向や反太陽方向への加減速を自由に行うことができないため、4月以降の軌道修正が容易に実施できるよう、また正確に実施できるように、この仮の目標点を設定しています。「はやぶさ」は、当面は、この仮の目標点に向かって誘導されていくことになります。

3月20日現在、地球への瞬時再接近距離は、約4.6万kmです。まもなく、静止軌道の内側を通過することが確実になります。

「はやぶさ」、静止軌道付近を通過する段階に

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2010年3月12日[更新]

先週から今週にかけて、イオエンジンの運転を止めて、精密軌道決定の作業をしていたため、今週は先週からそれほど接近距離を縮めていません。最接近距離は、約13万km になりました。
地球により接近するようになったので、このまま進むとスウィングバイしてしまいます。その様子を図でみることができます。
これからは、すこしずつ微調整を含めてイオンエンジンを運転していくため、週毎の接近距離の短縮スピードは落ちてきます。

「はやぶさ」精密誘導段階へ

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2010年3月5日[更新]

いよいよ、月への半分の距離、約16万kmを通過する軌道に到達しました。3月5日からは一旦イオンエンジンの運転を止め、精密に現在位置・速度を計測します。残りの期間は、単純に距離だけではなく、微調整を含んできます。

月までの距離の半分以内を通過する軌道へ

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2010年3月1日[更新]

先週の軌道推定の結果、「はやぶさ」は、月の内側を通過する軌道にのったことが確認されました。6月の地球からの最接近距離は、約31万kmになっています。「はやぶさ」搭載のイオンエンジンは順調に運転されています。3月初めには、一旦エンジンの運転を止め、精密な軌道推定を行う予定です。

いよいよ月軌道の内側へ!

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2010年2月

2010年2月18日[更新]

「はやぶさ」は順調に地球接近距離を縮めてきましたが、今週、その最接近距離が47万kmにまで近づくことが確認されました。まもなく月の内側を通過する軌道に入ります。ようやく、ゴールが見えてきました。

まもなく月軌道の内側へ

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2010年2月15日[更新]

「はやぶさ」のイオンエンジンは、今週も順調に運転ができています。
現時点での地球への最接近距離は、60万kmにまで小さくなりました。あと一息で月までの距離の内側を通過するようになるでしょう。
太陽までの距離も、しだいに1天文単位(地球の公転半径)にまで近づき、探査機の各所の温度も上昇してきています。一転してヒータ設定を変え、温度上昇を防ぐ運用に変わってきています。交信時間も、片道2分ほどになり、通信速度も上昇してきました。

あと60万km

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2010年2月9日[更新]

「はやぶさ」が、地球から約75万kmまで接近して通過する軌道に到達しました。月までの距離の約2倍の距離にあたります。イオンエンジンは順調に運転されています。ほぼ計画通りの目標線に沿って、誘導されてきています。2月下旬には月の内側へと誘導されてくる予定です。

月までの距離の2倍まで接近する軌道に

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2010年2月1日[更新]

「はやぶさ」のイオンエンジンは順調です。
今週水曜には「はやぶさ」が地球から100万kmを切る地点を通過することが確実になりました。月までの距離の2.5倍です。毎週、約15万kmずつ最接近距離が短縮されていて、約1ヶ月後には月までの距離を切ると思われます。「はやぶさ」は、今太陽から1.3天文単位(AU)、地球から0.3天文単位のところを飛行しています。

地球まで100万km以内に戻ることが確実に

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2010年1月

2010年1月21日[更新]

先週から今週へと、はやぶさは地球帰還へむけて順調にイオンエンジンの運転を継続しています。最接近距離は、115万kmと、月への距離の3倍を切りました。残りのイオンエンジン運転期間は、約2ヶ月です。

軌道図は「はやぶさ探査機母船の地球への帰還」を示していますが、今後の運用の焦点は、地球大気への精密な誘導で、それによって「はやぶさ搭載のカプセルの地上帰還」が可能になります。

地球帰還へ順調。残り2ヶ月間のエンジン運転

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2010年1月14日[更新]

「はやぶさ」は、先週からまた一歩地球に接近する軌道へと移りました。最接近距離は、約140万kmです。面外からの接近状況も計画通りに推移しています。
地球の引力圏を通過する軌道へのったということは、「はやぶさ」が地球への往復飛行に一応の区切りをつけたこと、帰還できたことを示しています。
今後は、月軌道半径を通過する軌道へと移行し、また、地球大気への再突入、そして地上でのカプセル回収と、一歩一歩進めていく計画です。
地球まで約6000万km。イオンエンジンによる航行もあと2ヶ月となりました。

地球引力圏を通過する軌道に帰還できました

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2010年1月6日[更新]

イオンエンジン運転再開後の軌道情報が更新されました。
「はやぶさ」の地球に対する瞬時最接近距離は、160万kmにまで近づきました。
「はやぶさ」の掲げる大きな目標は、地球への帰還、すなわち往復の飛行にあります。「はやぶさ」の飛行計画では、一旦地球に捕らえられる段階を経由しませんので、どの時点で、地球にもどれたと述べてよいのかは、難しい質問です。
地球の「引力圏」の大きさについては、いろいろな定義があり、(1/3)乗則によれば 216万km、(2/5)乗則によれば92万kmを引力圏の半径と述べる場合もありますが、Hill 圏として150万kmとするのが合理的です。無限小の第2天体に対する ラグランジュ点 L1, L2 点までの距離は、Hill 圏半径に等しく、L1, L2点はHill 圏球面上にあるといえるからです。もともと明瞭な境界があるわけではないですが、尺度として、このpage では、Hill 圏を引力圏としています。

来週の軌道情報の更新時には、「はやぶさ」の、地球に対する瞬時最接近距離が地球の引力圏の内側に入ったと発表することができると思います。

*瞬時最接近距離が地球の引力圏の内側に入ったと言っても、そのまま地球に捕獲されて地球を周回しはじめるわけではありません。

地球引力圏まであとわずか

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2010年1月4日[更新]

「はやぶさ」は、12月27日までイオンエンジンの運転を継続し、同日から1月1日の夜まで、同エンジンを停止し軌道決定(探査機の位置速度を精密に推定する作業)を実施しました。この作業には、JAXAの局はもちろん、NASA深宇宙追跡局網の複数の局が支援し、ΔVLBI観測も含めて、正確な軌道を把握しました。今後の航行にとっても不可欠の作業です。
元旦の夜、イオンエンジンの運転を、昨年11月以降に採用していたA-B複合モードで再開しています。
「はやぶさ」は地球から0.5天文単位の距離を切り、順調に地球に接近しています。来週中には、地球引力圏に帰還できたことを宣言できると思います。

地球引力圏まであとわずか

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2009年12月

2009年12月24日[更新]

「はやぶさ」は、その後も順調にイオンエンジンによる航行を継続しています。今の時点から以降の飛行を、イオンエンジンを運転しないで飛行したとして(弾道飛行)、地球からの最接近距離が、200万km を切りました。もうわずかで地球をとらえられます。

この年末、「はやぶさ」はイオンエンジンを一旦停止し、精密な軌道決定(軌道情報を正確に推定する作業です)を実施し、新年あけに再起動して航行を継続します。

地球引力圏まであとわずか

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2009年12月17日[更新]

「はやぶさ」は、11月上旬に中和器に問題が発生して一旦イオンエンジンの運転を休止しましたが、新しい形態に鞍替えした方式での運転方法にメドがつき、先月中旬から運転を再開しています。まだまだ、実際の地球からの距離は 1億kmのかなたにありますが、すでに「はやぶさ」は地球にかなり接近する軌道に乗ってきました。

地球に接近中

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今の時点から以降の飛行を、イオンエンジンを運転しないで飛行したとしても(弾道飛行)、地球から約200万kmの地点を通過する計算です。これは、地球と月の距離のおよそ5倍の距離で、地球引力圏の1.4倍くらいの距離にあたります。もうわずかで地球をとらえるところまできました。もうひとがんばり。

今は、一週間に15〜20万kmの速さで、徐々により近く地球をとらえつつあります。図からは3月に地球をとらえるように見えますが、実際に帰還するのはもっとずっと先になります。でも、その頃には、帰還できるかどうかがもっと明確になっていることでしょう。成人の日の頃には、はやぶさが地球の引力圏内にもどってこれるかがわかると思います。楽しみにしていてください。

「はやぶさ」プロジェクトでは、ときどきこの情報を更新していきたいと思っています。