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大気球

最近の実験(国外)

オーストラリアにて実験を実施

リハーサル時の様子
(吊られているのが観測器ペイロード)

放球時の様子


2015年5月12日に神戸大学、名古屋大学他と共同で、オーストラリアのニューサウスウェールズ大学が管理する気球放球基地を使用して、大気球実験を実施しました(場所:オーストラリア北部準州アリススプリングス)。

  • 実験名:
    「エマルションガンマ線望遠鏡による宇宙ガンマ線観測計画(GRAINE計画)」
  • 実験目的:
    大気球の観測器ペイロード(神戸大学、名古屋大学他によるエマルションガンマ線望遠鏡)によって、現時点で最も進んだ宇宙ガンマ線観測がなされているフェルミガンマ線宇宙望遠鏡(天文衛星)よりも数段上を行く高解像度観測を実現し、天体の空間構造の解明、ならびにガンマ線放射機構の解明を目指します。
  • 放球日時および場所:
    2015年5月12日午前6時03分(日本時間),アリススプリングス気球放球基地
  • 着地日時および場所:
    2015年5月12日午後8時25分(日本時間),クイーンズランド州ロングリーチの北方約130km地点

日本-ブラジル共同実験

ガス注入完了、あとは放球するのみ。

2005年より、ブラジル宇宙科学研究所(INPE)と共同で、サンパウロ州カショエイラパウリスタ実験場にて気球実験を行っています。ブラジルは、銀河中心といった日本からは見えない南の空の観測ができ、しかも広大な国土で1トンを越える重い観測器を打ち上げることができ、陸上で装置が回収できることが魅力です。

2006年には、名古屋大学のグループが中心となって開発した硬X線撮像検出器SUMIT(SUperMirror Imaging Telescope experiment)による天体観測を行いました。

1987年から1992年にかけても、大マゼラン星雲に発生した超新星爆発の観測を目的とした共同実験を行ってきました。

日本-アメリカ共同実験

南極で打ち上げられる直前のBESS検出器と大気球

宇宙からの宇宙粒子線の観測を目的に、高エネルギー加速器研究機構、東京大学、NASAなどと共同でBESS(Balloon-borne Experiment with a Superconducting Spectrometer)実験を行っています。

超伝導マグネットと粒子検出技術を利用した観測装置総重量は2トン以上にもおよびます。1993年以降、カナダ北部のリンレークなどで数多くの気球実験に成功し、宇宙線中に微量しか存在しない反陽子のエネルギー分布を精密に測定するといった成果をあげてきました。

2005年からは実験場所を南極のマクマード基地に移し、長期間の気球フライトによって低いエネルギーの反陽子をさらに精密に観測しようと実験を進めています。

日本-ロシア共同気球実験

1995年より1999年にかけて、青山学院大学、弘前大学、ロシアとの共同で高エネルギー宇宙粒子線の観測が行われました。カムチャッカ半島から放球され、ヴォルガ河近くで切り離されるまで、150時間におよぶ長時間にわたる飛翔ができたのが特徴で、11機の気球が放球され、10機の回収に成功しました。1014 eV以上の高エネルギーまで宇宙線陽子が加速されていることを確認し、粒子線の成分を分析し、そのエネルギー分布を調べることを通じて、宇宙における粒子加速現象の手がかりを掴むことができました。

南極周回気球実験

PPB8号機の放球準備。

南極の白夜の時期に気球を打ち上げると、日没がないため、大陸を一周できるほど長時間にわたり飛翔させることができます。1984年から実現に向けた検討が進められ、1987年(28次隊)、および、1990年(30次隊)に、試験気球が昭和基地より放球され、南極における気球実験の幕があがりました。その後、科学観測を目的とした南極周回気球(PPB: Polar Patrol Balloon)実験が行われるようになり、1991年から1993年(32-34次隊)にかけて(第一期)、磁場、電場、オーロラX線、大気微量成分の観測がなされ、2003年から2004年(44-45次隊)にかけては(第二期)、磁場、電場、オーロラX線、VLF電波の複数の気球での同時観測や数100 MeV領域の宇宙電子線の観測が行われました。また、周回気球ではありませんが、南極上空の大気を採取する実験(1998年(39次隊)、2004年(45次隊)や、高高度気球によるオゾン観測(2003年、44次隊)も行われています。2007年(49次隊)もJTサンプラーによって大気を採取する気球実験が計画されています。

日本-インド共同実験

図1 : 準備が進められる望遠鏡

図2 : 放球車に取り付けられた観測装置

1996年から、インドのタタ基礎研究所とISAS/JAXA、名古屋大学との間で共同気球実験が進められています。2006年には、星生成領域であるオリオン星雲を、一回電離した炭素が出す微細構造線などの遠赤外線で観測しました。観測装置は、ISASが開発したファブリ・ペロー分光器とインドが開発した1m気球望遠鏡を組み合わせたもので、高い空間分解能で分光観測ができる点が特徴です(図1、図2)。

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