インフレータブル構造を有する減速装置に関する研究

研究申込者

安部　隆士　（ISAS/JAXA）

研究要旨

大気突入用の展開型柔軟構造エアロシェルにインフレータブル構造を利用することは軽量かつ剛性が大きくできることから、有効な手段のひとつとして考えられている。しかし、インフレータブル構造体の高速気流中、特に超音速流中での挙動や飛翔体に応用した際の空力特性については、詳しく理解されていない。そこで、本研究では、単純な形状として球状のインフレータブル模型を用いて、JAXA宇宙科学研究本部の高速気流総合実験設備にて風洞実験を実施し、その基礎特性を得た。図１に、本試験で使用した実験模型を示す。本試験では、主に、マッハ数3.0の超音速気流中において、インフレータブル内圧と模型の形状及び抵抗係数の関係を取得し、気流動圧が、それらに与える影響について調べた。それに加え得られた実験結果を数値解析結果と比較することにより、現象に支配的なパラメータを抽出し、大気突入機への応用にむけた基礎データを取得した。

図１：実験模型






図２：マッハ数3.0、貯気槽圧力250kPaのときの内圧による模型形状と流れ場の変化
（上段：シュリーレン可視化写真、下段：模型の様子）
（左からそれぞれ内圧が真空、80kPa、120kPa、250kPa）

Key words

柔構造エアロシェル、再突入、流体構造連成、インフレータブル構造

2008年度の研究成果

「超音速流中におけるインフレータブル構造体の挙動及び空力特性に関する研究」
山田和彦、木村祐介、牧野仁、安部隆士、林光一（第52回宇宙科学技術連合講演会、淡路島、2008年、11月）

利用期間

2008年6月9日〜2008年6月20日、2008年1月5日〜2008年1月16日