二物体空力干渉

研究申込者

中村　佳朗　( 名古屋大学 )

研究要旨

宇宙利用を促進させるためには，経済性、信頼性、安全性などに優れた宇宙輸送技術を確立することが必要である．現在利用可能な有人宇宙輸送システムは，スペースシャトルとカプセルであるが，2010 年を目途に，スペースシャトルは引退し，再使用型カプセルによる有人輸送が計画されている．有人輸送における課題には，安全性，信頼性，低コスト，柔軟性などが挙げられる．特に，人命を扱う上で重要な安全性を高めるためには，確実な緊急脱出システムが必須である．脱出する際，低高度において，早急にカプセルをロケットから切り離すためには，大きな推力が必要となる．しかし，カプセルがロケットから離脱する場合，離脱したカプセルの後流がロケット前面と干渉するため，カプセル／ロケット間の流れは非常に複雑になる．本研究では，カプセルおよびロケットを基礎的な形状の円錐，円柱で模擬し，カプセル後流の空力干渉流れ場について調べた．シュリーレン法による流れの可視化実験により， Capsule/Rocket 間において循環領域が生成されることが明らかとなった．また，Rocket 側に直径の大きなDisk を付加した場合や，Capsule の中心軸がRocket の中心軸とずれている場合，Capsule/Rocket 間で生じる衝撃波が振動し，不安定な流れ場となることが明らかとなった．更に，圧力分布計測から，通常の分離ではCapsule 底面，Rocket 頭部における圧力は，ほぼ一様流静圧に一致することが明らかとなった．しかし，Rocket にDisk を付加した場合， Capsule 後流の空力干渉流れ場への影響が大きく，流れが安定状態にある場合でも，CDC = ‐0.5，CDR=1.0 となり，空気力を利用した分離が期待できると言える。

Key words

Capsule, Rocket, Aerodynamic Interaction, Wake

2007年度の研究成果

小澤啓伺（名古屋大院），　花井勝祥（名古屋大院），　三好理也（名古屋大院），　森浩一（名古屋大），　中村佳朗（名古屋大），　 ”　超音速流中におけるCapsule/Rocket後流干渉の実験的解析　”，　第51回宇宙科学技術連合講演会　，　札幌，　 2007．
花井勝祥（名古屋大院），　小澤啓伺（名古屋大院），　三好理也（名古屋大院），　森浩一（名古屋大），　中村佳朗（名古屋大），　 ”　Rocketから離脱するCapsuleにおける超音速後流干渉について　”，　平成19年度宇宙航行の力学シンポジウム，　相模原，　 2007．

利用期間

平成19年7月9日～7月20日