太陽活動の衰退


 良く知られているように、太陽活動には11年の周期があり、太陽の活動 の指標となる黒点の数などがこの周期によって増減します。今回の太陽活動 の極大のピークは、予想より1年以上も早く、1989年12月であったと 言われています。「ようこう」は、太陽活動の極大期を少し過ぎた頃 (1991年8月30日)に打ち上げられたので、「ようこう」で 観測しているのはだんだん元気のなくなっていく太陽と言っていいでしょう。
 上の図をご覧ください。上の2つの太陽像は共に軟X線望遠鏡(SXT) で撮影した太陽で、左の太陽は92年3月に撮影した太陽、 右の太陽は95年9月に撮影した太陽です。 上の2つの太陽を比べる と一目瞭然ですが、左側で多数存在しているX線で光っている領域が、右側では ほとんどなく、小さなX線の点しか見ることができません。これは、黒点の数が 少なくなり、黒点同士をつなぐような閉じた磁力線が少なくなることに 関係してると思われます。
 「ようこう」のように長期間にわたって太陽コロナの全体像をX線で観測した 例はこれまでにありません。なぜコロナがこのように変化していくのか、 この長期間の観測により明らかになっていくでしょう。



打ち上げ直後(91年11月:左)から1995年末(右)までの太陽
(81日おきに並べてあります。)

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