[注1]巨大ブラックホール:専門家は、(超)大質量ブラックホールと呼びます。恒星質量ブラックホールの大きさは数十キロメートルよりも小さいのですが、太陽の4百万倍もの質量を持つブラックホールの大きさは、およそ0.1天文単位(1天文単位は太陽と地球の間の距離)にもなるため、巨大ブラックホールとも呼ばれます。

[注2]角運動量:回転運動の能力を示す物理量です。重力以外の摩擦などの力が働かない場合は、角運動量の大きさは常に一定です(角運動量保存の法則)。スピンは単位質量当たりの角運動量を表します。スピンパラメータは、スピンの値を一般相対性理論で許されるブラックホールのスピンの最大値で規格化したものを表します。

[注3]共振現象:身近な例を挙げると、水道の蛇口から勢いよく水を出すと、甲高い音がします。これは水流によって生じた音波が、水道の管と共振して生じる共振現象の一つです。このように自然に生じる共振現象を自励振動とも呼びます。降着円盤で生じる自励振動は、現在、研究が盛んに進められています。

[注4]ブランドフォード=ナエック機構:1977年にブランドフォードとナエックによって提唱された、ブラックホールの自転エネルギーを電磁相互作用で抜き出す物理機構です。

[注5]宇宙ジェット:様々な天体からガスが高速で噴出する現象です。活動銀河中心核から光速で噴出する宇宙ジェットの長さは、数百万光年に達するものもあります。

ケプラー振動数:ブラックホールの周りをガスが公転する周期に対応する振動数です。

[補足1]降着円盤の共振現象からスピンを測定するという試みは、1993年以降、国内外で行われています。この方法の不確定要素は、どの光度変動がどの周期に対応するのかを特定する部分にあります。

[補足2]降着円盤が共振する周期は、一つだけではありません。したがって観測された光度変動がどの周期に対応するのかを見極める必要があるのです。

[図内の用語]

ケプラー振動数:ブラックホールの周りをガスが公転する周期に対応する振動数です。

エピサイクリック振動数:ケプラー回転運動するガスが、周回軌道からわずかにズレで振動する時の振動数です。下図のケプラー運動(点線)とエピサイクリック振動(実線)の軌道を参照。


 

用語解説

プレスリリース 詳細説明 用語解説と補足 著者紹介