SLIMに使用される新技術・研究

SLIMの目的である、月への高精度着陸技術の実証、低リソースの探査機システムの実現による月惑星探査の高頻度化への貢献を達成するために、様々な技術や研究が存在しています。このページでは、その技術・研究を簡単に紹介します。

月への高精度着陸を実現するために

着陸誘導制御技術

推進スラスタの推力誤差を含めた各種誤差へのロバスト性を高めつつ、推薬消費を節減するために、リアルタイムに準最適解を求める手法を用いています
特に重量制約が厳しいSLIMでの実現を目指すため着陸誘導システムに多くのリソース(重量や演算能力)を割けない状況下においてもピンポイント着陸性能が劣化しない制御則・システムを開発・研究しています。

画像照合航法

「降りたいところに降りる」ためには、探査機は自分がどこにいるのかを正確に知る必要があります。そのため探査機は定期的に月面の様子をカメラで撮像し、その様子から自分の位置を推定します。
特に月をはじめとする重力のある天体では、降り始めてから実際に着陸するまでを短時間で終わらせる必要があるため、高度な自律機能によって、自分の位置を推定する必要が出てきます。 SLIMでは画像処理技術によりクレータを認識することによって、これを実現しようと研究を進めています。


月面クレータを抽出する様子を紹介する動画です。
大小様々なクレータが抽出されているのが分かります。
明治大学 鎌田研究室

着陸衝撃吸収系

着陸の際の衝撃を如何に吸収し、探査機を守るかは着陸探査にとっては大問題です。従来の探査機ではハニカムクラッシュ機構やエアバッグなどが使われてきましたが、SLIMでは、発泡アルミニウムを利用することで、より軽量で確実な衝撃吸収を行うことを目指しています。


着陸シミュレーションを行っている動画です。(静岡大学 能見研究室)
月面への着陸を確実にするために、様々な条件でシミュレーションを行っています。

低リソースの探査機システムを実現するために

熱制御系

探査機の中で温度変化に弱いのは、タンク・バッテリであり、そのうちタンクは熱容量が相対的に大きく、バッテリは小さい。よって、バッテリとタンクを熱的に結合させることにより、バッテリ用に大きな放熱面積を確保することなくバッテリの温度上限を制御可能とすることができます。

電源系

小型化のために薄膜電池シート、SUSラミネートバッテリを使用するのが大きな特徴です。
また、デジタル制御電源とすることで軽量化とともに機能統合を実現し、将来、太陽光強度が大きく変動する探査にも効果的に対応できるようになります。

高性能推進系

月へと向かうSLIMは地球周回衛星と比べ、より推力が必要となります。そのため、推進薬量が必然的に多くなりますが、この問題を解決するために、より燃焼効率の良いスラスタが必要となります。SLIMでは「あかつき」での経験を生かし、セラミックスラスタの高性能化・信頼性の向上を図っています。

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